◆所蔵品から◆資料ナンバー2589その他 総選挙の関係の新聞記事の話
資料班



朝日新聞1946年3月11日

朝日新聞 1946年3月11日

朝日新聞1946年3月12日

朝日新聞 1946年3月12日

 今月(2017年10月)には衆議院議員の総選挙がありました。
 今月は、ピースあいちの資料の中から、1946年の、戦後初の総選挙を伝える新聞をご紹介します。
 3月11日の朝日新聞です。投票日は4月10日。1か月前に告示になるのですね。
 「今次総選挙の重要な意義」は、
1.民主政治確立への最初の布石
2.列国注視の下に行われる
3.憲法改正案に対し国民の意思が反映される
4.婦人参政権と年齢低下による新有権者の政治参与
の4つの点だと書かれています。
 記事の最後の「詔書」によると「帝国憲法第四十五条」…「ニ依リ」「総選挙ヲ行フコトヲ命ズ」となっています。古い憲法を使って、新しい選挙を実施したのです。選挙で選ばれた議員たちが新しい憲法について話し合う、という順番になります。

 翌日の新聞2面から「各党の布陣を見る」。
 上の見出しの「逐鹿」(ちくろく)は、鹿を逐(お)う・政権などを得ようとして争うこと、です。
 共産党、社会党、自由党、進歩党、共同党の5つの党の(大阪での)選挙の態勢が書かれています。告示の日の11日は立候補の届け出に出かけていて「作戦本部支部事務所は」「案外清閑だった」とか。
 写真は街頭演説。「急ぐ通勤者も足を止め、女性群も人だかりの背後につつましく傾聴する」。
 初めての婦人参政権。女性の参加がうながされていても、控えめ推奨、なのかしら。

朝日新聞1945年12月24日

朝日新聞 1945年12月24日

 さかのぼって1945年12月24日の朝日新聞です。「街の議事堂」という記事です。この日の前後に何度か同じタイトルの囲み記事が載っています。選挙に対する心構えとか、街の人の声などが紹介されています。この日のテーマは「本当の人民の味方を選べ」。
 「ほんとうに自分たちの代表になってくれる人を選べるのだから、棄権をしてはいけない」
 「名誉や金力、権力を持っていた」人より、「自分を犠牲にして人民の自由のために戦い、苦しんできた」人たちのほうが、真の「人民の友」だろうと思われる、と書いてあります。

朝日新聞1946年3月13日

朝日新聞 1946年3月13日

 公示の日から続々と発表される候補者のリストの隅に載っていた「政戦餘滴」をご覧いただきます。
 3月13日は、候補者最年少・最年長は?という内容。26歳から88歳まで。

朝日新聞1946年3月14日

朝日新聞 1946年3月14日

 14日は、職業の内訳。農業が一番多いのだそうな。次が社長・重役。「工員諸君や日稼業、駅仲仕君たちも顔を見せているところにちょいと清新さが漂う」と書かれています。

朝日新聞1946年3月15日

朝日新聞 1946年3月15日

 15日は珍しい名前の人を取り上げています。
 「漢字と仮名交じりの名前に親の時代の封建性を云々するのは少々行き過ぎだろうか……」と、余計なお世話のような気がするけどそんなんでも新聞に1回でも多く名前が載ればありがたいのだろうか、と思ったり、今ではありえない記事かもしれない、と思ったりしました。

朝日新聞1946年3月16日

朝日新聞 1946年3月16日

 16日。
 候補者の約2割が諸党派、その大多数が1人1党。党派名の変わったところを探してみると…。
 もう一つの話題。
 深夜に長距離、しかも山の中、投票箱を開票所まで運ぶのが大変なので投票を1日繰り上げたいと大和吉野の十津川村が当局に申し出た。

朝日新聞1946年3月17日

朝日新聞 1946年3月17日

 「新人必ずしも若人ではない」。大阪本社関係の23の選挙区の立候補者の平均年齢は48.5歳。「人生五十とすれば終焉期に近い。」って、70年前の平均寿命って、そんなに短かかったのか。
 「さすがに古き都の名に背かず」京都は平均60歳。京都の歴史の長さと立候補者の年齢の関係はよくわかりません。

朝日新聞1946年3月26日

朝日新聞 1946年3月26日

 最後に、「婦選紙上教室」。2017年5月の「所蔵品から」でご紹介したものの続きです。初めて投票する女性のための選挙Q&Aです。
 「消極的な気持ではいつまでたってもいい政治が行われませんし従って皆さん自身がいつまでも苦しまれるのです」
 「婦人有権者は投票すれば自分の義務が終わったと早合点しないで自分たちが選んだ婦人代議士の議会におけるその後の活動ぶりを注視し政見遂行のよき協力者になって頂きたい」
 と、かっこ良い言葉が並んでいます。


 

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