◆所蔵品から◆ 資料ナンバー7732 1942年3月・4月の大阪毎日新聞より
前回に続き戦争中の選挙の報道の話
資料班
大阪毎日新聞 名古屋支社版 1942年4月30日 愛知版(4面)
今月の「所蔵品から」では、先月に続いて1942年(昭和17年)の衆議院議員総選挙について書かれた大阪毎日新聞(名古屋支社版)の記事をご紹介します。
最初にご覧いただくのは投票日の4月30日、4面の愛知版です。
まず目が行くのは中段あたりの広告です。「棄権違反は吾等(われら)の敵だ」「翼賛の熱意をこの一票へ」「けふ(今日)・聖なる審判の日」「一票奉答断じて行使」と書かれています。
左上の写真は投票所の視察をする名古屋市長と、翼賛会県支部の「棄権防止」の宣伝の自動車、右上の写真は「翼賛總(総)投票」と揮毫(きごう)する愛知県知事です。
大阪毎日新聞 名古屋支社版 1942年3月22日 市内版
3月22日「翼賛政治体制確立 議会新発足の日」「四月三十日 総選挙の重大意義」という見出しの記事を読むと、この選挙の背景や目的などが分かってきます。
昭和12年(1937年)に「林内閣の抜打解散による総選挙」があり、その後「第二次近衛内閣が時局重大を理由に任期を一年延長」、5年ぶりの総選挙となります。
「前回の総選挙後において支那事変は勃発し いま新たに大東亜戦争に突入」「国民は挙国征戦の完遂に邁進する意気と気魄とを示さねばなるまい」と続いていきます。
小さめの見出しで「清新有為者を推薦」「翼賛協議会 きょう支部長会議」と書かれています。この選挙では、候補者は「翼賛政治体制協議会」によって選ばれ、推薦されます。
大阪毎日新聞 名古屋支社版 1942年3月20日 夕刊
少しさかのぼって3月20日の夕刊です。「四月一日 翼賛選挙常会 五ヶ条の誓いを唱和」。「常会」というのは隣組(現在でいうと町内会)の毎月の会合です。全国で同時に常会を開催し、その中でラジオ放送を聞いて「誓い」を唱和し、選挙の心構えを固めるということのようです。
もうひとつの見出しは「全国有権者数 昨年末現在で約千四百九十五万」。
当時の日本の人口は、「進め一億」という標語があることから考えると約1億人? だとすると有権者の人数1495万人はかなり少ない印象です。当時選挙権があったのは満25歳以上の男性でした。
大阪毎日新聞 名古屋支社版 1942年4月2日
4月2日の市内版から、4月1日の翼賛選挙常会の様子を伝えた記事をご紹介します。「一票翼賛を誓う 昨夜臨時常会」 写真は東区の棣棠(やまぶき)連区が学校講堂で常会を行った時のものです。普段は町内会ごとで行う常会を、学校に集まって合同で行ったということのようです。ラジオを聞く以外に、詔書奉読、講演、紙芝居「総意の進軍」上演も行われたそうです。
「翼賛選挙貫徹芸能大会」が5日午後6時から市公会堂で開かれる、というお知らせも載っています。「翼賛選挙貫徹運動を明朗に一般大衆へ示唆するため」と書かれています。
大阪毎日新聞 名古屋支社版 1942年4月29日
「あす投票日」「戦場へ行く覚悟 勝ち抜く一票だ 応召の心構えで行こう」
投票当日は国旗を掲揚し神社や神棚に拝礼し兵士たちに黙祷を捧げるというような厳粛な気持ちで投票所に臨むようにと書かれています。
「また家庭の婦人としても有権者である夫や息子、兄弟を投票所へ送り出すには出征軍人を送ると同じ気もちでやってほしい」と続きます。
大阪毎日新聞 名古屋支社版 1942年5月1日夕刊
「棄権率一割六分六厘 市部の成績、驚異の躍進」「本社調査」
投票率は結局どうだったのか。投票の翌日の夕刊に数字が載っていました。この時は棄権した人の割合のほうを棄権率として出していました。投票率でいえば80パーセントを超えていることになります。
大阪毎日新聞 名古屋支社版 1942年4月17日
今月も最後に選挙以外の記事をご覧いただきます。
4月17日にイランと日本の関係に関する記事が出ていました。明治・大正に視察団が行き来して、昭和4年(1929年)にテヘランと東京に公使館が開設。そのほかに昭和14年のイラン国皇太子の結婚の時のエピソードが書かれています。
大阪毎日新聞 名古屋支社版 1942年4月5日
「いつも美人を同伴 敵将マッカーサーの陣中生活」「比島兵捕虜 打明話」
フィリピン(比島)の「バタアン半島○○○捕虜収容所」に居る「米国人」と「比島人」の捕虜の座談会です。「敵将マッカーサー」は、「今や豪州に逃亡したという」と書かれています。
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