国際法ゼミの平和学習 -身近に感じる戦災-         
愛知学院大学法学部准教授  尋木 真也

                                           
 

戦争体験談と消えない記憶
 2025年12月6日、私たち愛知学院大学国際法ゼミ(2年生)は、ピースあいちを訪問しました。ウクライナやパレスチナで戦争が続くなか、より戦争を身近に感じ、戦争に関する国際法の必要性を学ぶため、戦争体験談をうかがうとともに、展示の解説をいただきました。

 森下規矩夫さんの空襲体験談は、心に残る傷跡が、私たちにも深く刻まれるものでした。後に詳しく調査されて得た空襲の情報と、ご自身の辛い記憶とを照らし合わしつつお話しいただきました。現在のバンテリンドームナゴヤ付近にあったご自宅は空襲で焼失し、親戚の家に身を寄せた後、疎開をされたそうです。ご自宅を失った衝撃もさることながら、家々だけでなく人もまちから消えたことが恐ろしい印象として残っているとのことでした。焼夷弾の雨を思い出すため、戦後80年を経た今でも、花火やクリスマスのイルミネーションは見られないそうです。
 敵戦闘機のジュラルミンがきれいと言って、姉に怒られた記憶についてもお話しされました。当時まったく娯楽がなかったわけではなく、戦意高揚の作品ばかりとはいえ、映画館で映画を見るのが楽しみだったそうです。かくれんぼなど、今と変わらぬ遊びもしていたとのことです。
 小学校1年生だった森下さんでも、米軍の圧倒的な強さに、日本は勝てないと思ったそうです。それでも、口に出すことはできませんでした。終戦を迎えたときの気持ちは、今でいう外国から日本に返ってきたときの安心感に少し近いとのことでした。生き生きとした復員兵の姿も印象的だったようです。

展示から学ぶ身近な戦争
 体験談をうかがった後、2グループに分かれ、常設展と企画展(寄贈品展)の解説をいただきました。軍隊手帳を読んだり、本物の焼夷弾を手にとることで、森下さんの記憶と私たちが生きる実社会とがつながったようでした。


 瑞穂ヶ丘中学校の生徒さんが作成した新聞の展示は、よく調べられていて、追体験させられるものばかりでした。名古屋に戦災孤児が多かった事実に着目した記事をはじめ、学徒動員やペット・動物園に関するものなど、中学生ならではの視点に基づくものも多く、大学生や大人が気づきを得るきっかけを数多く提供してもらいました。

机上にとどまらない戦争学習
 ピースあいちでの体験は、とても心が痛みます。この痛みは、大学の教室で勉強しているだけでは、なかなか感じられないものです。そして、この痛みこそが、平和の実現に直結し、どのような理由があれ、戦争だけは回避しなければならないとの思いに至らせます。

 その日の午後は、平和公園でロシア兵捕虜のお墓参りをした後、東山動植物園で事前学習した『ぞうれっしゃがやってきた』の象舎展示も見学しました。また、2月には、シンガポール・マラッカでのゼミ合宿も予定しています。シンガポールのチャンギ収容所から名古屋に移送された捕虜に関する実地学習等も行うことで、学生のうちに戦争忌避の姿勢を養います。