戦災・空襲記録づくり第41回東海交流会参加記

運営委員 林 和子





 2025年12月14日、「第41回戦災・空襲記録づくり東海交流会」がピースあいちで開催されました。会場に31人、ズームで5人の方か参加されました。3件の特別報告と7件の活動報告がありました。

 特別報告1は、愛知大学の樫村愛子さんから「社会調査実習を通した戦争体験学習」と題した報告がされました。戦後80年という時期でもあり、学生の中では「社会調査実習」のいくつかのテーマの中で「戦争と平和の意識についての調査」が最も人気が高かった。地域の戦争体験(および継承活動)を聞き取り、「東三河における戦争体験継承活動」としてまとめた。語り部の「語り」や「語るきっかけ」を調査し記録に残すことはとても大切。継承運動は、たとえ途中で途切れることがあっても、記録があれば次に続けられる。


 特別報告2は、戦争遺跡探し隊の山田富久さんの「身近で見つけた陸軍の地下壕―岐阜県各務原市の大安寺地下壕(西豪)」。ここ数年、愛知県を中心に東海三県の戦争遺跡を訪ねている。各務ヶ原の大安寺地下壕の現状を知るため現地訪問した際、従来から知られている地下壕とは別の位置に新たな地下壕を発見!天井の崩落が激しく、坑道は落石で埋め尽くされ、坑内の歩行は極めて困難で危険。幅は基本2~3m、最大4.8m。高さはほぼ3m。開口部は東南部にあり東向き。五芒星のある飯碗や大日本麦酒のビール瓶などの遺物があった。今後この地下壕の用途の解明、聴き取り調査による当時の地元の状況や部隊の確認、保存(私有地)の働きかけをしていきたい。

 特別報告3は、ピースあいちの牧野修三さんの「沖縄展における新たな取り組み~映像の活用~」。ボランティアに参加しすぐに、十分に活用されていなかった大型テレビと100本を超えるピースあいちの語り手による「戦争体験の証言映像」を館内で、「いつでも、誰でも、映像を閲覧できるようにしたい!」「費用は最小限に、来館者が容易に操作できる、映像の追加や変更が容易」な映像閲覧システムができないかと相談し、取り組み始めた。
 体験者の映像は今、90人の証言が視聴できるようになっている。また、今年の沖縄展では①沖縄戦体験者の証言と②「基地のある日常」を伝える映像を取り入れた。「基地のある日常」は米国防総省の配信している利用制限なしの画像(自衛隊との共同訓練などの映像も多く公開されている)を活用したり、自分で普天間基地とその周辺の姿を撮影し、1分半程の動画にし、展示会場で視聴できるようにした。戦争の実相を伝える方法は多々ある。

 休憩をはさみ、地域からの報告として、「戦争遺跡に学ぶ亀山の会」「敦賀空襲をめぐる報告」「瀬戸地下軍需工場跡を保存する会」「岐阜空襲を記録する会」「半田空襲と戦争を記録する会」「熱田空襲遺跡を守る有志の会」「大垣空襲を語り継ぐ会」がありました。
  亀山の会の岩脇さんは「市との協同事業として、①亀山市の戦争遺跡マップの発行 ②戦争遺跡の説明板設置 ③関の地下壕の調査を行っている。「亀山列車銃撃」の説明板の設置によって、今年さらに2人の犠牲者が分かった。説明板を設置すると、戦争遺跡がなくても『戦争や平和を考える場』になる。」と報告。

 また、東海交流会の立ち上げから参加していただいた半田空襲と戦争を記録する会の佐藤明夫さん、岐阜空襲を記録する会の篠崎喜樹さんが亡くなられたご報告がありました。
 最後にまとめとしてピースあいちの宮原大輔さんから「戦後80年たっても新しい壕が見つかったり、犠牲者のお名前が判明したり…。また、映像の活用、大学での取り組みなどそれぞれのところで、地道に粘り強く新しい挑戦に取り組んでいることが交流できた。東海交流会を引っ張ってきてくださった半田の佐藤明夫さん、岐阜の篠崎喜樹さんの遺志を繋ぎながらまた一年がんばりましょう」と、お話がありました。