ボランティア雑感◆ピースあいちでボランティアインターシップ
名古屋市立大学のボランティアインターシップinピースあいちに今年は7人の学生が応募。6月21日から9月13日の間に計10回、ピースあいちでのボランティアに参加してくださいました。
来館者の受付、イベントの会場設営、資料の準備、戦争体験者のお話を聞く、企画展の設営や撤収など、ボランティアが日々行っている様々な業務をいっしょにしました。インターンシップ終了後も、引き続きピースあいちのボランティアに登録してくださった方も数名いらっしゃいます。今回のボランティア雑感は、研修に参加された4人の方から感想をいただきました。
船越 美織(2年生)
ピースあいちで二か月ほどボランティアに参加させていただき、とても貴重な時間を過ごすことができました。最初は「平和活動」や「ボランティア」に堅いイメージを持っていたのですが、活動を通して温かく迎えていただき、少しずつ居心地の良い場所だと感じるようになりました。
展示替えでは世代の違う方と協力して作業し、大きな達成感を得られたのが印象に残っています。受付ではご年配の方から戦時中の体験や歴史をうかがい、教科書では分からない重みを感じることができました。ロールプレイングでは中高生と意見を交わし、世代によって平和への関心の持ち方が違うのだと気づかされました。
こうした交流の中に「平和な気持ち」があり、それが広がっていくことこそ大切なのだと思います。今回の経験は、学んだ知識を自分の実感につなげる大きなきっかけになりました。

脚立にのって展示作業
不動野 晴香(2年生)
ボランティアを始める前は、戦争資料に触れたり実際の体験を聞いて痛ましく思うことはあっても、その場限りの感想であったり、どこか自分の生活とは関係ない、お話の中の出来事であるという印象が強かった。ピースあいちでボランティアが始まった当初も戦争や平和に対する姿勢はそのままで、何か忘れずに継いでいかなければならないものなのだというイメージを持っていた。しかし、継続的にボランティアとして活動していくにつれ、戦争や平和がいかに身近な問題であるかを、イベント企画や他のボランティアの方々との交流を経て実感することができた。語り手の方のお話や戦争体験の展示は痛ましい情景がまざまざと浮かんでくるようだった。設営や運営に関わることでより他人事ではないのだという気持ちがより強まったように思う。
ピースあいちでのボランティアで得た経験は、戦争や平和に対してひとりの人間が考えるには重すぎて難しいというある種の忌避感を持っていた私の考えを大きく変えた。今の私自身に何ができるのか、答えをすぐに出すことは難しいが、 ボランティアが終わった後も絶えず考え続けていきたいと思う。

ボランティアから展示内容の説明を受ける
杉山 綾香(2年生)
ピースあいちでの活動に参加して、何か自分でできることはないか考え、行動に移すボランティアの方々の姿勢を見ました。自分の祖父母が体験して話してくれた戦争の出来事を、次の世代に伝えようと語り手として活動する人や、自分が生まれ育った街で起きたことに関心を持って調べ、文章にまとめる人など一人一人の思いを知りました。必ずしも大きなことに取り組まなくても、自分にできる範囲のことで他者に影響を与えることができると学びました。
私は元々、曽祖父が戦地に行っていたことや、祖父母が戦時下で生活を送った経験があることから、戦争に対して関心を持っていました。しかし、曽祖父は私が生まれた頃には亡くなっていたり、辛い記憶を思い返したくなかったりして、直接的にも間接的にも話を聞くことはほとんどありませんでした。そこでピースあいちに行けば、もっと戦争体験者やそれに近い人の話を聞けるかと思い、ボランティアに参加しました。10回の活動を通して、ネットで単に調べるだけでは分からない細かなことまで知ることができたとても有意義な時間でした。
ボランティアを通して、戦争と平和について考える機会が増えました。国際関係論で平田先生がおっしゃっていた民主主義が大事ということを改めて実感しました。当時民主主義がきちんと実施されていれば、こうはならなかったのにと感じる場面が多くありました。
今の私にできることとして、まず身近なところは、選挙権などの今私がもっている権利を自分で放棄しないことだと考えました。そして、過去の歴史や現在起きている時事問題から学び、過ちを繰り返さないために考え続けたいです。そういったことの積み重ねで何か変わることがあるかもしれないと思うと、無駄なことはないと感じました。私のピースあいちでのボランティア活動はこれで終了しますが、ボランティアを通して学んだことを自身のこれからが豊かなものになるように活用し、第三者にピースあいちの取り組みについて広め、戦争と平和について考える機会を与えられたら良いと思いました。

ミーティング
栗田 貴美香(1年生)
ピースあいちでの活動を通して、私は多くの戦争の事実を知った。6月9日の熱田空襲や名古屋城が焼失した日を学び、それを知っているかどうかで同じニュース映像の受け取り方がまったく違うことに気づいた。
戦時中に馬が戦地へ駆り出され、多くが帰らなかった話は、馬術部に所属し馬を愛する私にとってとても辛く、戦争の理不尽さを改めて感じた。生協の沖縄旅では、指導者たちが自決する一方で、犠牲になるのは常にひめゆり学徒隊の生徒など、一般市民であるという現実を改めて痛感した。ピースあいちでは多世代の人々と出会い、同年代の仲間とは話さないような深いテーマを語り合えたことも貴重な経験だった。絵本を通して子どもたちに平和を伝えようとする考え方は私にとって新鮮だった。「当時には当時の価値観がある」という言葉から、戦争を一面的に捉えず、複雑な背景を理解する姿勢の大切さも学んだ。
戦争体験者の声を記録し、次世代へとつないでいくことが、今の私にできることだと思っている。自由に声を上げられる今の時代に感謝し、学びを無駄にせず、自分にできる行動を続けていきたい。