子どもたちが感じる平和と戦争
社会福祉法人てとろ 理事長 阿部真由子
毎年7月になると、法人の運営する保育園の5歳児皆で、ピースあいちさんを訪問しています。3歳から「平和」ってなんだろう?と考える機会を設け、継続的に取り組みをおこなっています。年長児は事前学習としてスタジオジブリの名作「火垂るの墓」を鑑賞し、それぞれの感想を話し合います。
その後、ピースあいちさんを訪問します。映画の中で節子が被っていた防空頭巾を実際に被り、町を焼き尽くした焼夷弾を触ることは、子どもたちにとって「少し怖い、でも興味がある」体験になります。その体験を通し、映画の中の出来事が現実であったのだと、子どもたちは初めて感じるのです。
昨今、タブレットやゲームをする幼い子が増えています。簡単にリセットをし、やり直しができる、すぐに何でも調べることができるという「デジタルの世界では当たり前のこと」が、子どもの想像力を欠如させ、他人の痛みや喜びに対し共感する力の成長を妨げていると感じることがあります。
ピースあいちさんを訪問し、実物を見て体験をした後、子どもたちに「戦争はずっと昔のお話ではないんだよ。あなた達が少し前に生まれていたら、この戦争の中を生きていたんだよ。」と話しかけた時、子どもたちの眼差しは、とても真っすぐで何かの決意に満ちたものに変っています。
ピースあいちさんを訪問し、戦争を自分ごととして感じる体験は、子どもたちにとってのあたり前の毎日、つまり家族と過ごすこと、ゆっくり眠ること、友だちと遊ぶこと、お腹いっぱいごはんを食べること、それがどれだけ素敵なことであるかを感じさせてくれる体験でもあります。この日をきっかけに、子どもたちから出てくる日常の言葉が変わるのは言うまでもありません。
「今日も、おかわりいっぱいしたよ!お腹いっぱい食べれて幸せだねぇ。」

子どもたちの平和で明るい未来は、戦争への恐怖を感じることよりも、この明るい言葉の中にあるのでしょう。子どもたちに、この代えがたい経験を与えてくださるピースあいちのスタッフの皆様に、大きな感謝の気持ちでいっぱいです。
来年も既に予約させていただきました。よろしくお願い致します。

