◆所蔵品から◆
資料ナンバー1532 「尋常小学国史付図 上巻」の話
資料班

尋常小学国史付図 上巻 表紙・奥付
今月はこちらの「尋常小学国史付図 上巻」をご覧いただきます。
巻頭のカラーの図版を中心にご紹介します。
最初に、折りたたまれた横長のページがあります。地図「史跡鳥瞰図」と年表「国史一覧表」です。


「史跡鳥瞰図」と「国史一覧表」
年表を詳しく見てみましょう。


尋常小学国史付図 上巻
「神武天皇が橿原宮に即位」から、年表がスタートします。「橿原」は「かしはら」と読みます。
赤い帯が「紀元年数」で、右端には「元」と書かれています。「元年」ということですね。
中段上寄り「人物」というエリアには人名と生きていた年代を表す赤い横線が書かれています。最初に出てくる人物は「聖徳太子」、次が「鎌足」(藤原鎌足)です。
「仏教伝わる」が「紀元年数」1212年。西暦だと660を引いて552年です。
年表の後のカラーページを見ると、「天の岩戸」・「金の鵄」など、歴史というか神話のエピソードが描かれています。


尋常小学国史付図 上巻
もう少し時代が進んだところです。「紀元年数」1305年、西暦645年には「大化の新政」と書かれています。最近だと「乙巳の変」というのも聞いたことがあります。
ちなみに今年2025年の十干十二支は、巳(へび年)で西暦の下一桁が5(十干では乙)、645年と同じ「乙巳」です。645年は1380(60×23)年前です。
平安時代に入ると「人物」の欄には「道真」(菅原道真)が出てきます。
ここでカラー図版を見てください。右のページには「藤原鎌足」、左には「菅原道真」の肖像があります。
右ページ下の図は「入鹿誅せらる」。645年の「乙巳の変」の図です。
どうでもいい話をしますが、ここで倒れている蘇我入鹿と、左のページの菅原道真は、よく見ると着物の色と柄がほぼ同じです。
左ページの下の絵で、赤い花が咲いている大きな木は、梅の木です。


尋常小学国史付図 上巻
さらに進みます。右の端は鎌倉時代です。「紀元年数」1941年、弘安4年に「元寇」と書かれています。(西暦は1281年)
南北朝時代は当時は「吉野時代」と呼ばれていました。
カラーの絵は右ページに「足利義満」「足利義政」「応仁の乱」、左ページに「上杉謙信」「武田信玄」「北条早雲」「毛利元就」「川中島の戦」が出てきます。
年表は続きますが、上巻で紹介される時代はこのあたりまでです。

尋常小学国史付図 上巻
地図(鳥観図)も少しだけご紹介したいと思います。
右下の部分を拡大しました。
左手前に名古屋・豊橋、右手前に東京があります。東海道はものすごく短く、詰め込まれて描かれています。現在のピースあいちの周辺、名古屋から長久手・小牧山・犬山・多治見は、ゆったり描かれています。奥には関ケ原や琵琶湖が見えます。
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