平和を学び、平和をつなぐ◆ピースあいちでの学びと国際支援の歩み

市邨高校ユネスコ平和教育推進部 主任  松野 至





 2025年6月、名古屋経済大学市邨高等学校のユネスコゼミおよび平和ゼミに所属する生徒たちが、戦争の記憶と平和の大切さを次世代へ継承する学びの場「ピースあいち」を訪問し、貴重な学習の機会をいただきました

 私たちが取り組む「ユネスコ平和の架け橋協働プロジェクト」は、2018年より台湾・韓国・カンボジア・ヨルダンの高校や教育機関と連携し、フェアトレードによる難民女性支援、戦争被害地域の教育支援、そして持続可能な国際交流の実践を柱としています。国内では、SDGsや平和教育に取り組む高校とのネットワークを形成し、多文化理解や人道支援をテーマとした合同発表会や展示会も継続して行ってまいりました。

 戦後80年という節目を迎えた日本において、戦争の記憶を若い世代に伝える重要性が増す中、若い世代が「戦争を知らない時代」に生きることの意味を改めて問い直す必要があります。ピースあいちでの展示を通じて、生徒たちは戦争によって失われた命や日常に深く心を動かされ、「平和は当たり前ではない」という気づきを得ることができました。資料館の皆さまが丁寧に語り継いでくださる証言や展示は、私たちにとってかけがえのない平和教育の教材であり、今後の活動への大きな糧となっています。

 このような国内での学びを土台に、私たちは8月以降、さらに国際的な実践へと歩みを進めてまいります。まず8月初旬には、カンボジア・コッコン州を訪問し、現地の教育省への学用品等の贈呈式を実施します。これはJICA青年海外協力隊の皆さまと連携しながら進めている取り組みであり、現地の子どもたちの学びを支える支援となることを願っています。
 さらに、カンボジアの負の歴史を学ぶため、プノンペンにある「トゥルースレン虐殺資料館」とのオンライン中継学習会を実施する予定です。平和の尊さを国内外で学ぶことの意義を、現地とのリアルなつながりを通じて体感していきます。
 そして8月後半には、ヨルダンのアンマンを訪問し、パレスチナ難民キャンプにある学校を訪問。フェアトレード商品の購入と難民学校支援の贈呈式を行うとともに、現地の生徒とのオンライン交流会も開催いたします。
 支援する相手を「遠い存在」としてではなく、対話を通じて「顔の見える友人」として捉える機会をつくることで、国際理解と共感の学びを深めていきます。

 世界では今もなお、戦争や紛争、政治的混乱により多くの人々が故郷を追われています。国連UNHCRによれば、2023年末時点で、故郷を追われた人々の数は1億1700万人を超え、その約40%が18歳未満の子どもです。こうした現実を他人事とせず、「自分たちにできることは何か」を考え、行動に移していく力こそが、いま私たち高校生に求められていることだと考えています。
 ピースあいちでの学びは、そうした私たちの意識を確かに支え、今後の国際活動の原点となりました。この場をお借りして、心より感謝申し上げます。
 市邨高校ユネスコ平和教育推進部は、これからも若者たちの手で平和のバトンをつなぎ、国内外で持続可能な国際支援と対話の実践を続けてまいります。

ピースあいちで