ボランティア雑感◆スリランカでの出会いから
ボランティア  土井 結月





 

 私がピースあいちのボランティア活動を始めたきっかけは、ピースあいちでボランティアをしている母から話を聞いて、興味を持ったからです。

 私は小学生の頃、国際協力の仕事に従事している父に同行し、スリランカで暮らした経験があります。 当時のスリランカは、26年間に及んだ内戦が終結してから5年が経とうとしていました。NGOのスタディーツアーに参加し、激戦地となった北部の町を訪れたことがあります。そこでは、私がこれまでに見たことのない光景が広がっていました。

 荒廃した町で家を修繕する家族を訪ねると、女性と子どもたちだけが生き残るために必死に生活していました。私はその時の女性の涙が忘れられず、戦争の悲惨さや平和の尊さを強く感じました。これが私の戦争と平和に対する関心の始まりだったと思っています。

12月9日のイベントで報告する筆者

 ピースあいちでは、常設展示の解説等を多言語化するというバイリンガルプロジェクトに参加しています。様々な年代のボランティアメンバー(10代から70代まで)が一つの目標に向かって、意見を出し合い、作り上げていく作業は、深い学びと学校生活では味わえない楽しさがあります。


 私はピースあいちの活動や日本の戦争について、世界中の多くの人々に知ってもらいたいと思っています。その理由は、私はスリランカの学校でクラスメイトから「日本は爆撃されて当然だった」と言われた経験があるからです。

 その時、私はただ怒りに震えました。しかし、ある時、美しいビーチがあるトリンコマリーという町へ家族旅行にいった時、ドライバーが「ここは第二次世界大戦中、イギリス海軍基地だったため、日本軍が空爆を行い、多くの犠牲者が出た」と話してくれました。

 私は親日国のスリランカで日本は尊敬されていると信じていたので、大きなショックを受けました。クラスメイトの言葉は正しくはないけれど、もしかしたらそう思わざるを得ない理由があったのかもしれません。

 私はその時以来、自分だけがいつも正しいという考えを持たないようにしようと思うようになりました。他人の気持ちを考えることが、人と人との関係、ひいては国同士の関係において争いを防ぐ上で最も重要であると考えています。相手の立場や視点を理解することで誤解や対立を避けることができます。

 世界中で戦争や紛争が絶えませんが、ピースあいちでの活動を通じて共感や思いやりを忘れず世界の平和に貢献できる人になりたいと思っています。