◆所蔵品から◆資料ナンバー10282 画集「大日本 海洋美術展集 第五回」の話
資料班



「海洋美術展集」 「海洋美術展集」

「海洋美術展集」表紙・奥付

 ピースあいちでは、2023年12月5日から第11回寄贈品展 戦争が遺(のこ)したモノたち がスタートしました。今月も、展示中の資料の中からご紹介します。
 今月ご紹介するのは「大日本 海洋美術展集 第五回」です。
 昭和十六年(1941年)六月、朝日新聞社発行です。

「海洋美術展集」 「海洋美術展集」

「海洋美術展集」

 カラーで掲載されている絵は3点。表紙の「渡洋爆撃」(石川寅治)と、 「軍艦出雲」(石川柏亭)・「捕鯨図」(司馬江漢)です。

 司馬江漢(しば こうかん)、聞いたことあるけど、だいぶ昔の人ではないか?
 1747年生-1818年没ということは、徳川9代将軍家重の時代から、10代家治、11代家斉の時代まで生きていた人です。じゃあ日本画か、浮世絵か?というとそうでもなく、油絵も描いていたようです。

「海洋美術展集」

「捕鯨図」(司馬江漢)  部分

 江戸時代の絵なのに、漁師さんたちの服装は洋服のようにも見えます。布のしわを線ではなく色の濃淡で表しているので、西洋の絵に見えます。
 くじらの目つきとか、こちら向きの4人の表情や、力の入らないポーズなど、不思議な味のある絵だと思います。

「海洋美術展集」

「海洋美術展集」

 中身を見てみましょう。漁をする人たちの絵と、吊るされた魚の絵。鮭の絵が有名ですが、これは「鱈」(たら)です。

「海洋美術展集」

「海洋美術展集」

 こちらのページでは兵士が出てきます。

「海洋美術展集」

「海洋美術展集」

 見開きの左上、家族が話している絵のタイトルは「海の話」。
 左端の人物が、(おそらく)海軍での体験を語って聞かせています。後ろに掛け軸が見えます。上座(いちばんいい席)に座っていますね。

「海洋美術展集」 「海洋美術展集」

「海洋美術展集」

 このあたりのページでは、船が主役です。

「海洋美術展集」 「海洋美術展集」 「海洋美術展集」

「海洋美術展集」

 ここからは「日本画」です。(今までは「洋画」でした。)
植物と、船と、海鳥の絵です。人物の絵もあります。

「海洋美術展集」

「海洋美術展集」

 巻末の「参考画」のコーナーからは、めずらしいと思ったものを見ていただきたいと思います。まずは「蒙古襲来絵詞」(もうこしゅうらいえことば)。

「海洋美術展集」

「海洋美術展集」

 こちらは、イギリスの作者による「水雷発射」と、イタリアの作者による「軍艦扶桑航海図」です。
 今回のピースあいちの展示の中には、軍艦「扶桑」(ふそう)の写真もあります。この「軍艦扶桑航海図」には、真横から撮影した写真の「扶桑」とは、かなり違う姿が描かれています。



詳しい画像はこちらからどうぞ。
https://peace-aichi.com/pdf/20231222_art-ocean.pdf

ピースあいちウェブサイトの、所蔵品の紹介のページからも、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
https://peace-aichi.com/objects/