「平和学習展2023」の開催、そして次へ
山県市歴史民俗資料館 館長  岡山 敏明

                                           
 

 岐阜県山県市は、今年度も平和学習展を開催しました。令和2年度以来3年目となります。いずれの年度も、「ピースあいち」様より、当時の現物の資料や作成されたパネルを拝借しました。この3年間お世話になり、改めて深く感謝申し上げる次第です。

 

 山県市歴史民俗資料館が、毎年1月~2月に「平和学習展」を実施してきた理由は、小学校6年生の社会科の歴史の授業で、第二次世界大戦の学習がこの時期に行われるためです。
 授業で学んだことを、身近な資料館で教科書にない資料や、人々の戦争にかかわる情報に触れ、よりリアルに深く戦争の現実を知ってもらいたいという願いからです。今年度は、市内9つの小学校の内、7校が来館しました。

展覧会場の様子1

 

 展示は、3つの部屋を使用し、それぞれ「空襲と原爆」「戦時下のくらし」「戦争とこども」をテーマにしました。特に今年は、「ピースあいち」様より、「戦争とスポーツ」「戦時下の少女の暮らし」の2種類のパネルをお借りしました。

 

 「戦争とスポーツ」のパネルのひとつに近藤清さんの紹介があります。岐阜にゆかりのある野球選手で、岐阜商業や早稲田大学で活躍されました。野球に情熱を燃やしてみえましたが、召集され戦局が悪化する中、特攻隊のパイロットとして戦死されました。
 小学生たちは、戦争は本来生きるべき人生や夢を奪うことを、彼らなりに胸に刻んだのではないかと思います。

 また、「空襲と原爆」のコーナーでは、民間人の犠牲に焦点を当てました。昭和20年代の岐阜を含む日本の各都市への空襲の実態、さらに日本もまた中国に対し大きな犠牲をもたらした事実に触れました。
 多くの犠牲と反省をもとに現在の日本の平和があります。小学校世代のこどもたちは、「平和のバトン」をしつかり受け取って次の世代へとつなげてくれることと思います。

 

 来年度も「ピースあいち」様に引き続きお世話になれればと思う昨今ですが、これからは山県市在住の方々の戦時体験談を掘り起こし、戦後80年の節目の年となる令和7年度の「平和学習展」に山県の視点から取り組みたいと考えています。
 今後もご教示いただけますよう宜しくお願い申し上げます。