◆所蔵品から◆資料ナンバー696・695・694 写真週報で見る働く女性たち の話
資料班



写真週報

写真週報 表紙・裏表紙

写真週報1943年10月20日号

 今月は、内閣情報局発行の「写真週報」から、働く女性に関係する記事を紹介したいと思います。
 まずご覧いただくのは「写真週報」1943年10月20日号です。表紙の文字は、「今ぞ学生決起の秋」「今日よりは晴れて飛行予備学生」。
 戦争が厳しくなり、ついに学生まで兵隊に行くことになった「学徒出陣」。企画展「戦争とスポーツ」でとりあげた「最後の早慶戦」と、明治神宮外苑競技場での「出陣学徒壮行会」も、1943年の10月に行われています。
 見開きの記事は、「土浦海軍航空隊の学鷲入隊式」。
 「荒鷲」「若鷲」「陸鷲」「海鷲」など、航空隊員やその飛行機を「**鷲」と呼ぶのはいろいろ見たことがあったのですが、元学生の航空隊員は「学鷲」と呼ぶようです。「がくわし」で、いいのかしら。

写真週報1943年10月20日号

写真週報 1943年10月20日号

 ここから、女子が働く話になります。「国鉄の現場にも女性の敢闘始まる」の記事です。
 国鉄は、今ではJRです。1987年、34年前に民営化されてJRになりました。
 学生が、学業を中断して兵隊に行かなくてはいけなくなった時期です。女性が労働の場にかり出されました。
 券売機も改札機もない時代なので、「出札」「改札」の業務があります。ほかには駅員、電信、審査統計などの仕事が紹介されています。

写真週報1943年10月13日号

写真週報1943年10月13日号
表紙・裏表紙

 1週間前の、1943年10月13日号です。
 機械を操作する女性の写真に「戦力増強をこの腕に」の文字が添えられています。

写真週報

写真週報 1943年10月13日号

 「職場の進出にはまず技術を」
 「補導所」という訓練用の施設が紹介されています。機械の操作、製図、タイプライター、珠算(そろばん)などを女性たちが学んでいます。名古屋市千種区花田町に国営の女子機械工補導所があったのだそうです。
 

写真週報

写真週報 1943年10月13日号

 こちらは女子理容師補導所です。
 バリカンを持った手がずらり。その横の一番下の小さい写真では女生徒たちが合唱をしています。
 説明文を読むと、「働く乙女に優しさを失わせまいと、合唱の時間も――」
 学ぶ女性たちの心を大切にしているように見えます。

写真週報 写真週報

写真週報 1943年10月13日号

 「働く女子には温い思いやりと設備を」
 女子が働く工場が紹介されています。
 手の汚れない仕事、楽しい作業、生け花のあるなごやかな寮の部屋、茶道や裁縫を学ぶ時間、女性専用の寄宿舎や更衣室やお手洗いなど、働きやすく過ごしやすい場所であることが紹介されています。最後のページは笑顔の女性たちの写真です(食事の準備、家族からの手紙、お給料)。
 内閣情報局としては、こんないいところですよ、どんどん働きに出てね、安心してお嬢さんを預けてくださいね、という宣伝の面があったのではないかと思います。

写真週報 写真週報

写真週報 1943年10月6日号
上:表紙・裏表紙
下:巻頭言、巻頭特集

 さらに1週間さかのぼって1943年10月6日号。「女性もあげて決戦へ」
 表紙の次の見開きには飛行機のプロペラを加工している女性たち。小さい字で「女でもこんな仕事を」
 「航空機工場、これこそ私達のために開かれた職場だ」
 先ほどご紹介した機械工補導所の記事の中にも、「航空機工業」が、「女子の性質にうってつけの産業」という説明がありました。

写真週報 写真週報

写真週報1943年10月6日号

 「こんな職場はむしろ女の方がいいでしょう」という記事では、写真付きで「男子の就業が禁止される職業17種」を紹介しています。
 「現金出納係」「外交員 注文取」「電話交換手」「事務補助者」「物品販売業の店員 売り子」「小使 給仕 受付係」「集金人」「行商 呼び売り」「給仕人」「踏切手」「昇降機運転係」「料理人」「出改札係」「携帯品預かり係 案内係 下足番」「車掌」「番頭 客引き」「理髪師 髪結 美容師」です。
 「こんな職場はむしろ女の方がいいでしょう」の隣のページは、巻頭の「女でもこんな仕事を」の続きで、精密な作業(旋盤?)・砲弾作り・鉱山での作業をしている女性の写真になっています。

写真週報

写真週報1943年10月20日号

 「敵アメリカの女さえこんなに動員されている」
 「ジャズに浮かれ、スポーツに溺れ……」当時のアメリカってそういうイメージだったのでしょうか。
 右下の写真、チェックのスカートにハイソックスの女性は航空工業のエンジニアです。左上の写真の女性たちは鉄道の保線作業をしています。左下の女性は砲弾に油をさしているところです。
 「航空機工業は女性の進出が著るしく、三割三分に及んでいる」「航空機会社では操縦士以外の仕事すべてに女性が進出している」「航空は将来女子の産業となるであろうといわれている」ということも紹介されています。
 飛行機造りは女子に向いている、というのは、アメリカから来た考えだったのでしょうか。そして、日本の女性たちも飛行機製造の現場に動員されていきます。


詳しい画像はこちらからどうぞ。
https://peace-aichi.com/pdf/20210621_hatarakujosei.pdf

ピースあいちウェブサイトの、所蔵品の紹介のページからも、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
https://peace-aichi.com/objects/