コロナ禍の沖縄見聞録
名古屋市立大学教授 阪井芳貴

                                           
 

 昨年12月18日から21日まで、無理矢理、沖縄を旅してきました。夏の恒例ゼミ沖縄フィールドワークが実施できなかったので、そのリベンジを、内容を変えておこなったのです。本来なら10日間ほど滞在し、学生たちがそれぞれのテーマで聴き取りなどをおこなうのですが、それを4日間に短縮しスタディツアーの形で実施しました。それでも、不参加の学生が数人出て、こじんまりとした旅となりました。
 まず、出発時に驚いたのは、閑散としたセントレアの空虚感です。ここまで人がいなくなっているのかと、あらためてコロナ禍のむごさを実感しましたが、これは旅行中ずっとつきまといました。

 初日は、午後便でしたので、ほぼ移動だけ。沖縄県独自の緊急事態宣言のため、午後8時で飲食店は閉まってしまいますので、あわてて「うりずん」に駆け込みました。「うりずん」といえば、予約しないと入れないお店ですが、ところが駆け込みですんなり入れました・・・。久しぶりに、名物の「どぅるてん」をいただきましたが、喜んでばかりはいられませんね。本当に、飲食店は大変です。国際通りも少し歩きましたが、目を覆いたくなるようなシャッター街になっていました・・・。せっかく昨年度、観光入域客一千万人を達成したのに、信じられない光景でした。

展覧会場の様子1

堅牢そうな「堤防」がずっと沖まで延びる辺野古の海

 

 二日目は、朝早く那覇を発ってまず辺野古へ。途中土砂降りになり、辺野古の浜も寂しくぬれていました。しばらく来ない間に、堅牢そうな「堤防」がずっと沖まで延びていました。本当に腹立たしい…。浜のフェンスの向こうでは、警備員が私たちをずっと見張っていました。
 その後、山越えして屋我地島へ。目的地は愛楽園です。ところが、着いてみると、交流会館の入り口に「17日から閉館しています」と張り紙が!がーん! でもドアが開いたので、入ってみるとそこにピースあいちで講演してくださった鈴木陽子さんがおられ、すぐに辻さんに「阪井先生が来られました」と連絡してくださいました。  お二人とも、閉館中ですが、どうぞどうぞと、展示室の照明を付けてガイドもしてくださいました。名護市で集団感染が出たため急遽閉館したそうですが、ご厚意でゆったり見学ができました。本当にありがたく思いました。お礼に、というわけではありませんが、できたばかりの『開園80周年記念誌 うむいちなじ 改正ハンセン病問題基本法までの三十年』を求めました。とても分厚い書物で、学ばされることが満載です。
(こんなふうに書いていくと、ものすごく長くなるので、はしょります)

展覧会場の様子1

首里城で見つけた花

  

 三日目のトピックは、沖縄市で写真家の豊里友行さんの事務所に寄ってゆんたくしていたら、衆議院議員屋良朝博氏が偶然来られて、旧交をあたためたことです。沖縄をあるいていると、こういうことはしばしばあります。この日は、浜比嘉島・読谷村・宜野湾市などであちこち見学しました。
 四日目は、なんと言っても首里城見学です。実際にこの目で確かめると、火災による喪失感が想像以上に迫ってきました。それでも、全焼した正殿と北殿の間に可憐な花が咲いているのを見つけ、ちょっとだけ心が和み、再建への希望を持つことができましたよ。
 たった四日間でしたが、非常に盛りだくさんな旅となり、学生たちもそれなりに得ることが多かっただろうと思います。この夏は、しっかりフィールドワークができることを祈らずにはいられません。