◆所蔵品から◆資料ナンバー9602 昭和3年の暦の話
資料班



山田醤油店ポスター

山田醤油店ポスター

 今月も、開催中の「第8回寄贈品展 伝えていこう戦争の記憶」に展示されている資料からご紹介します。
 「陸前登米町 山田醤油店 電話二十八番」。お醤油屋さんの広告です。それにしてはまわりの模様が洋風の唐草模様。ミュシャのポスターなどに通じるような。
 真ん中はお醤油屋さんの広告なのですが、左右にびっしり書いてある黒地に白文字の部分は何なのか。

山田醤油店ポスター(部分)

山田醤油店ポスター(部分)

 右上の部分に近寄ってみると、「昭和三戊辰年太陽暦」。これは「暦(こよみ)」です。
 上段は今だと祝日にあたるような日のリストです。
 次の段は「甲子」「庚申」の日のリスト。十干十二支の「きのえ(甲)ね(子)」と「かのえ(庚)さる(申)」の日です。
 「庚申」の日の夜は、集まって寝ないで起きているというの、以前何かの本で読んだことがあるような。

山田醤油店ポスター(部分)

山田醤油店ポスター(部分)

 左右の「大」「小」の下には、31日まである大の月とそれ以外の小の月が書かれています。右上の1月の欄を見ると、大きい「一」の右にはその月の最初の日の干支「一日 子」左には旧暦の何月何日にあたるか「十二月九日」が書かれています。
 左の「二」の下の棒の中に文字が書かれています。「うるう」を表しています。昭和3年は1928年、うるう年で2月が29日まであります。
 さらにその下の4月、左の旧暦のところは「うるう二月十一」となっています。旧暦は太陽暦よりひと月が短いので、「うるう月」がたまに発生します。この年には旧暦では「2月」の後に「うるう2月」がありました。

 真ん中の段は「小寒」「大寒」「節分」「初午(はつうま)」「八十八夜」「入梅」「夏至」「半夏生(はんげしょう)」「二百十日」「冬至」です。

その下の段は、「己巳」(つちのと み)と「八選」です。「甲子」「庚申」と同じく、60日に1回まわってくる特別な日です。

山田醤油店ポスター(部分)

山田醤油店ポスター(部分)

 最下段は、「日曜表」です。
 左端の欄は「本命九紫暗剱殺南乃方」。なんだか要素がどんどん増えてきましたが、「本命九紫」は、「1928(昭和3)年生まれの人は九紫火星」のようなことですよね。「暗剱殺(暗剣殺)」は、おおざっぱに言うと、「良くない方角」です。

山田醤油店ポスター(部分)

山田醤油店ポスター(部分)

 左の方はもうまとめて載せます。こちらは「陰暦」、旧暦です。
 こちらは先ほどとは逆に旧暦の最初の日「朔」の干支と、太陽暦の何月何日にあたるかが書かれています。小寒、大寒…の日取りも、旧暦で書かれています。
 「天赦日」はラッキーな日です。「せつ」と「ちう」は二十四節気(大寒とか立春とか)に関連しています。ひとつおきに「節」と「中」が来ます。冬至が「中」、小寒が「節」、大寒が「中」、立春が「節」…となります。
 上の欄、「大さい」「大おん」で検索したら、「八将神」というのがヒットしました。興味がある方は調べてみてください。
 下段は土用、彼岸、方位早見(北が下になっています)。
 これだけの情報が載っていれば目立つところに貼って折に触れ見てもらえるでしょう。お店の宣伝として効果があったのではないでしょうか。

 最後の欄は編集発行者。編集・発行は「大阪市東区博労町」「中井德太郎」。博労町と書いて「ばくろうまち」と読みます。
 渋いようで目を引く色合いにモダンなデザイン。字は読みやすい。大阪の印刷所で作られていたのですね。


詳しい画像はこちらからどうぞ。
https://peace-aichi.com/pdf/20201222_shouyucalendar.pdf

ピースあいちウェブサイトの、所蔵品の紹介のページからも、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
https://peace-aichi.com/objects/



お知らせ
 ピースあいち第8回寄贈品展 伝えていこう戦争の記憶
 展示期間 2020年12月8日~2021年2月27日
 会   場 ピースあいち3階展示室
 開館時刻 11:00~16:00、最終日は15:00まで
 休   館 日曜、月曜、年末年始(12/26~1/4)

・12月26日より年末年始休館となります。2021年は5日(火)から開館します。
・新型コロナ感染拡大等の状況によっては、臨時休館または展示・イベント等の内容の変更があります。電話(052-602-4222)、ホームページツイッターでご確認ください。