6月11日(土)◆「講演会」と「ピースあいち総会」
運営委員  赤澤 ゆかり            

    

 6月11日(土)午後1時30分からピースあいちで、現在開催中の企画展「2016年沖縄展 辺野古から沖縄・日本を考える」関連イベント、阪井芳貴先生(名古屋市立大学大学院教授)による講演会が行われました。テーマは「沖縄の怒りと悲しみを識るために-辺野古の海の恵みと暮らしを脅かすモノ-」。ピースあいち会員、沖縄出身の方々、一般の入館者ら、約60人が参加しました。
 またその後、「ピースあいち(正式にはNPO法人平和のための戦争メモリアルセンター設立準備会)総会」が行われました。

絵はがき

「ピースリーディング」

 講演会に先立って、台本を手に登場人物の台詞を読む「ピースリーディング」が行われました。5月3日から19日にかけて、「非戦を選ぶ演劇人の会」が全国で同時多発ピースリーディングを企画しましたが、その時に用意された台本の一つ、『9人いる! ~憲法9条と沖縄~』(作:宮城康博)です。阪井先生、三線演奏者、沖縄関係者、ピースあいち関係者の計9人が出演しました。
 内容は、『「憲法9条と沖縄」リーディングの当日、待てど暮らせどやってこない9人目の出演者を待ちながら、出演者のユンタク(おしゃべり)で明らかになる、沖縄と憲法の歴史や現在、辺野古新基地建設をめぐる政府のデタラメぶり。到来せぬ9人目を待つことなく、リーディングの幕は開く…。(非戦を選ぶ演劇人の会HPより引用)』というもの。
 阪井先生はその後の講演で、「1609年薩摩藩の琉球侵攻以来、外からの力で変えられてきた沖縄の歴史と暮らし。けれど、望んだもの=憲法9条は来ない」と、解説されました。

絵はがき

阪井芳貴先生

 旧集落で「下部落(したぶらく)」と呼ばれる辺野古は、ニーヌファウタキ、クシヌウタキ、メーヌウタキという3つの「ウタキ(信仰の聖域)」によって守られている地域です。戦時中の郡道建設、1945年の徹底的な空襲被害、1957年のキャンプシュワブ建設などにより、生活の糧であった森林を奪われました。現在は、基地で生計を立てる人たちが集まってきた新しい町「上部落(うえぶらく)」、そして「外来者」である海兵隊、活動家、機動隊という図式の中で、かつての村落共同体が解体しつつあります。さらに海上滑走路の建設で、海も、そして空も奪われるのか…というお話に胸がつまりました。
 辺野古新基地建設問題、辺野古の歴史、そして民俗学的視点から、沖縄の今を解き明かす意義深い講演でした。

絵はがき

総会

 休憩を取って行われた「総会」では冒頭、森嶌昭夫理事長が、「どうやって次の世代に平和を残していくか―。先の戦争がいかに悲惨だったかを残して知ってもらうことが、ピースあいちの第一の使命。その目的を維持し追求する持続可能な活動をするために、会員を増やしていくことが必要だ。そのために、お知恵をお借りしたい」と挨拶しました。
 通常の議案のほかに、2017年5月に迎える「開館10周年記念」の取り組みなどについて、活発な議論が交わされました。