◆ボランティア雑感◆私のボランティア
ボランティア 稲垣 一雄
定年退職してから12年になります。この間、地域の自治会活動を始め、お誘いいただいたボランティアにはほとんど参加してきました。
あの愛知万博のボランティアにも応募し、会期中は、せっせと通いました。戦争と平和の資料館「ピースあいち」のボランティアには開館時から参加させていただいています。今日は私のボランティアの中の一部をご紹介します。
★「なごや ひらがな しんぶん」
日本語を勉強している外国の方々に役立つことを願って作成している新聞です。年に4回の発行で、今年の12月1日で110号になります。私は7年前から参加しています。現在9名のボランティアで活動しています。
作成には、やさしい日本語・判りやすい表現をモットーに、漢字にはルビ(ひらがな)を打ちます。ルビは漢字の下に打っています。この新聞の特徴の一つです。
自分たちで題材を選び、原稿や挿絵をも作り、全員で推敲した上で、印刷や折込・発送をします。発送先は、国際交流機関や学校・日本語教室などです。
関係先から「日本語の勉強に役立つ。」と評価していただいています。
新聞や雑誌などの印刷物は衰退し、インターネットに移って行くと言われていますが、この「なごや ひらがな しんぶん」は、このスタイルを、ずっと続けて、皆さんのお役に立ちたいと思っています。

「なごや ひらがな しんぶん」
★「日本語会話教室」
当地には、多くの日本語会話教室があります。ほとんどがボランティアで、「日本語で日本語を教える」という直接法といわれる形式で行っています。そのうちの15年程の歴史がある教室に参加して、10年になります。スタッフは総勢20名で、学習者は現在35名です。
会話という看板の通り、「話す」・「聴く」が中心です。「読む」・「書く」も大切ですが、日本語の場合、「ひらがな」・「カタカナ」・「漢字」と3種類も勉強せねばならないのがネックで、学習者も敬遠する傾向があります。「読む」・「書く」は、とりあえず、後回しにしています。
会話は基本的に「~です」・「~ます」で終わる丁寧形で教えています。実際の日本人の会話と違うために、学習者の評判は良くありませんが、丁寧形は、いつでも、どこでも、誰にでも使える最良の言葉と強調しています。
教え方については、いろいろ問題点がありますが、それ以外にも、対応に苦しむケースがあります。それを紹介します。
・授業に、自分の名前や出身などを紹介する「自己紹介」の勉強があります。その時の中国出身の女性の発話です。
「私の町は、日本軍に、最初に占領されました。」
この後の発話は、日本に来て、大学に入り、アルバイトをしました。そのアルバイト先は値段の高い高級寿司店で、先生には来店は無理だ。などで終わりました。
どのように対応したら良いか、判断がつかず、そのまま授業を終わりました。
・べトナムの公務員で、大変なエリートの発話です。
「ベトナムの字は、フランス人によってセーヌ河に捨てられました。」
ベトナムの歴史に明るくない私が、うっかり、ベトナムの文字について質問した答えです。
何も言葉を返せませんでした。