ピースあいち「映像による学習会」に参加して イベント委員 林  收



 ピースあいちでは2007年11月以降、毎月第二土曜日の16時30分から「映像による学習会」が催されてきました。映画の本数では50本を超えています。
 ピースあいちの通常開館時間終了後、新旧さまざまなジャンルから選んだ映画を上映し、映画で描かれているさまざまな情勢や背景などを通して現代の課題を学びとっていこうとするものです。
 「歴史は繰り返す」。ローマ時代から伝えられているというこの格言は、国家間の戦争にはズバリ当てはまります。第二次世界大戦以後、核兵器以外のすべての兵器を使う国家間の全面戦争だけでも、朝鮮戦争をはじめ10回以上起こっています。
 アメリカの哲学者ジョージ・サンタヤナの名言「過去を思い起こし得ないものは、過去を繰り返すように運命づけられている」はこのことを言い得ていると共感します。
 映像として視覚聴覚に訴えている「映画」をとおし、このことを学び続ける意義はたいへん重要なことと言えます。

おそうじ1

 したがって、取り上げられる「映画」は、戦争のない安定した平和な社会を呼びかける「ピースあいち」として「戦争」の残した痛みや悲惨さや残酷性を訴えた作品が多くを占めます。「ひめゆりの塔」、「二十四の瞳」、「ビルマの竪琴」、「黒い雨」、「ホタル」などが代表的なものとして好評を得ました。参加者にはこの会場で旧作品に再びめぐり合って感激を新たにされた人も多くあったことでしょう。

お掃除2

 「核兵器は人類を滅ぼす」「もう原発はいらない」というメッセージをテーマとする「原爆の子」、「ヒロシマ・ナガサキ」、「父と暮らせば」、「はだしのゲン」、「第五福竜丸」、「ノー・ニュークス」、「シルクウッド」、「ゴジラ」、「東京原発」も登場しています。
 そのほか、空襲を描いた劇映画、ノンフィクション、記録映画、アニメーション作品など幅広く選ばれていて、30名を超える参加者で賑わったことも記録されています。また、「日本国憲法」、「映画日本国憲法」は今後も繰り返し上映して鑑賞者を広げていくことが望まれています。

お掃除2

 これら秀作のなかで、とりわけ筆者の印象に残ったのは4年前の1月に取り上げられた「白バラの祈り」です。
 「白バラの祈り」は、1943年、第二次大戦下のドイツでナチスの暴政に反旗を翻したミュンヘン大学医学部学生グループのひとりとして21歳の女子学生ゾフィー・ショルが、「戦争努力の放棄」を呼びかけるビラに《白バラ》と署名して、オーストリアとドイツ圏内に配布したが、まもなく逮捕され、わずか数日で国家反逆罪として処刑されてしまうまでの5日間を映画化したものです。逮捕後の苛酷な取調べに対しても、死にのぞむ日まで偽りの告白を拒否し、屈することなく明るい未来を信じて真実を主張するゾフィーに強く感動し、50年以上前に観たフランスのレジスタンス映画「鉄路の戦い」(監督ルネ・クレマン)から受けた感銘が蘇ったものでした。
 ピースあいちでは、今後もこの「映像による学習会」を続け、これまでの参加者の定着化に加え、新たな参加者の増加に努めていきます。また、鑑賞しやすくするため新しい映像再生装置や大型スクリーンの設置も実施しました。配布チラシやホームページ上での参加呼びかけも続けていきます。
 お誘い合わせてのご参加をお待ちします。