「うえのたかし」作品展から 平和の大切さを! ボランティア 堀田 兼成

「うえのたかし作品展-岐阜空襲・炎の記憶」の期間中(9月20日~9月29日)の初日に3階展示室を担当した折、うえのたかしさんの奥様(芙美様)とご一緒し、たくさんの事を学ばせていただききました。
「炎の記憶」は、作者が幼年期に目の当たりにした、岐阜大空襲をモチーフにされた15作品の連作木版画(下絵を作らずに、墨を塗った版下に彫刻刀で直接に彫って作成した独特の作風)である。

「叱 咤」
子供は、脱げた下駄を欲しがった。
じっと見ていたら、裏返しになった下駄。当時、いかに子供にとって大切な物だったか。「下駄などいいから、逃げるんだ、早く逃げないと死んでしまうぞ。早く・・・・」そんな叫び声が聞こえてきます。(作品の中の少年は、作者ご自身・・)。当時は、靴などなく、ほとんど下駄でした。
15点の作品(黒一色の木版画)。順を追って見て、つらい画面ばかりでした。戦争の悲惨さから、平和の大切さが、作品から伝わってきました。
他の作品は、明るいやさしさに満ち溢れたものばかり、例えば、
「出番を待つ象たち」
サーカスの象たちがステージを前に、調教師が跪いた一頭の象の膝に乗り、やさしく体をさすり、落着かせている絵(黒一色の中で調教師は色刷り)。普段、見られないシーンを表舞台に引き出し、ほのぼのとした一つの作品に取り上げ生かされた、すごい着眼点・・・。
「映える花」
黄色のコウボネの花と赤トンボが池面に映った実に美しい作品。ヒメと名のつく「ヒメコウボネ」は、岐阜のこの池に見られるだけで、現在は絶滅危惧種に指定されているそうです。それまで、作者は保護に大奮闘されたのです。(ヒメコウボネは、水中でも花は咲く珍しい花)。
また、雷鳥の2作品(「崖の雷鳥」「雷鳥と白い山」)、各々、描かれたカップルのやさしい目がなんとも言えません。
自然や動物を愛し、山の大好きだった、言うまでもなく、人を一番愛した、すべての作品の中から見る者には、感動として伝わってきます。

「ぞう列車」の作品では、当時(1999年頃)子供たちの描いたたくさんの絵を切り貼りし、それが作品の基となり、東山動物園「ぞうれっしゃが走って50周年」記念モニュメントの原画となっているそうです。素晴らしいお話として伺いました。
是非、東山動物園のゾウ舎前のモニュメントを見てください。絵本の「ぞう列車がやってきた」を想い出して眺めるのもいいですヨ。
「ピースあいち」では、絵本の他、パネルにして詳しく紹介しています。ご自由にご覧いただけます。ご来館の折には、お見逃しなく。
上野芙美様とのお話の中から一部紹介させていただきました。関係者の皆さまにお礼を申し、お読みくださった方、ありがとうございました。