◆寄贈品展・関連イベント「愛知一中 志願兵 兄の遺品から」◆
ボランティア 吉田幸代

第2回寄贈品展より
2月18日(土)までピースあいち3階展示場で開催された「ピースあいち・第2回寄贈品展」。
市民のみなさんから寄せられた戦争時代の品々約150点を展示、「歴史の証言者」である戦時遺品の声に耳を傾け、戦争と平和について考えてみませんかと問いかけました。
展示品の中には、15歳で志願して兵隊になり17歳で戦死した「愛知一中」の生徒さんが家族や友人に遺したたくさんの手紙も展示されました。
「愛知一中(現旭丘高校)志願兵の遺品」が寄贈され、ピースあいちの3階で展示してある。1月21日には、その志願兵の一人・鈴木忠煕氏の弟さん(鈴木隆充氏)がピースあいちで話をされた。
鈴木隆充氏は、まず、江藤千秋著「積乱雲の彼方に」の本について紹介された。この本は、予科練についての当時の様子を記録として残すために作られた本である。その後ドラマ化された。タイトルは「15歳の志願兵」で、昨年夏、NHKスペシャルで放映された。
このドラマは、向学心に満ちた愛知一中の生徒たちが「予科錬生 志願の強制割り当て」のために、矛盾と葛藤の中、夢をあきらめて戦地へ行く覚悟をする様子をしっかりと描いている。「若くしてお国のために、大空に散るという悲劇性と英雄性」は国民の賛美の的になったそうである。
私は、戦地で戦うのは、成年男子と思っていたので、「聖戦完遂」の時局の中、満14歳から満20歳の若者が戦地に送られたことを知り、驚いた。そして、とても心が痛んだ。
忠君愛国の精神が美徳とされ、それに反発する者は、非国民扱いされた時代。精神的にも痛めつけられて、人間が人間に圧迫を加える社会。本当に想像を超える苦しい世の中だったことを知り、大きなショックを受けた。
これまで、鈴木隆充氏は、戦争について、ご家族にもあまり話されることはなかったそうである。
しかし、今回「平和について考える場」であるピースあいちで、あまり知られないまま時が過ぎてしまった予科練について、また、当時の家族のギリギリの精神状態や動揺について、わかりやすく説明してくださったことを、とても感謝しています。
15歳の志願兵
昭和18年9月、当時18歳の愛知一中3年生の鈴木忠煕は甲種飛行予科練習生として、松山海軍航空隊に入隊し、昭和20年5月、南西諸島海域において、17歳の若さで戦死しました。
志願して入隊したのですが、実は軍の圧力を受けた校長、配属将校らの強い勧めによるものでした。
疑問を抱く教師もいましたが、表だって反対することはありませんでした。
(資料寄贈者・鈴木隆充さんの文面より)

「愛知一中志願兵の遺品は語る」
お話:鈴木隆充さん 2012年1月21日 ピースあいち1階ホール