学生のレポートから◆高校生の心に響いた「ピースあいち」の展示 鹿島 顕二
私は、今年から「ピースあいち」の近くのC高で「現代社会」(1年)の授業を担当することになった。歩いてC高から「ピース」まで7~8分の地の利(?)を生かして、6月下旬から夏休み終了まで「ピース」を見学して閲覧券の裏に一言感想を書くという課題を出した。
結果、約9割(180名)の生徒が提出してくれた。それも、ほとんどの生徒が閲覧券の裏に小さな字でびっしりと書いてくれた。レポート用紙に書いて提出してくれた生徒も1割ほどいた。このことは、「ピース」の展示が、いかに生徒たちの心に響いたかを示している。
内容は多岐にわたる。7月に展示された「現代の空襲展」を見た者の多くが、広島・長崎のことは(小中学校の学び学習で)よく知っているが、名古屋が空襲にあったことを初めて知ったという感想を書き、こちらが(私63歳)驚いた。「そうか知らないのか!」貴重な感想であった。
また、ベトナム戦争のダイオキシンの被害による大量の奇形児を写真集で見た、その悲惨さを多くの生徒が書き留めた。8月に展示された「アンネとホロコースト展」を見た生徒は、同じ世代のアンネの人生に対する思いを語るものが多く、東山動物園の「ぞう列車」の展示で戦争中の動物の実情を始めて知ったとする感想も多くあった。
2階の常設展については、焼夷弾や防毒マスク等の実物が展示されていることや、中央に展示してある大きな写真パネル(死んだ弟を負ぶった少年や中国での大量の死者の写真)が生徒たちに強い印象を与えたことが感想を通して読み取れた。また、生徒の中には日本の被害と加害にまで及ぶ感想を書くものもいた。さらに「ピース」の紹介ビデオで知った加藤たづさんの巨額の寄付行為に対する賛辞と人の生き方に触れたものもいた。
「ピース」の最大の目的の1つである若者に対するメッセージは、(私の)想像を超える役割を果たしていると改めて思わされた。
最後に、「ピースあいち」の評価を書いてくれた生徒がいたので、全文を紹介しておきます。
「僕が評価したい点は3点ある。1点目は、すべての事実を伝え、決して日本寄り、日本が正しいという展示がされていなかった点だ。たとえば、写真では戦争の悲惨さ、死体を負ぶった男などを通じて戦争はダメなものだと思ったけど、『相手に一方的にやられました』って言う日本人兵の死体の写真だけでなく、日本人が殺した多くの外国人の死体の写真もあることで、日本の過去の過ちを再確認できたし、そういう経験をした日本人としてこれから何が平和のためにできるか、と考えることができた。
2点目は、写真の使用だ。やはり、戦争の写真なので結構ムゴイのもあるけれど、あえてそういうのを見せて、戦争のダメな点をわかりやすく伝えていると思った。
3点目は、常にフロアーに説明役の人がいることだ。疑問に思った点などを詳しく聞けた。あと、展示について1つずつわかりやすく説明してくれたので、内容が今でも頭の中に残っている。実物の武器を触れたのもよかった。」