◆所蔵品から◆ 資料ナンバー1487 雑誌「初級英語」昭和18年2月号 の話      資料班



 真珠湾攻撃(日米開戦)から1年と少し。ポツダム宣言受諾(終戦)の、2 年半前。昭和18年(1943年)の英語の学習雑誌です。「初級英語」の2月号な ので、4月から英語を始めて、もうすぐ丸1年、という生徒むけの内容です。 出版社は研究社。英語の辞書や学習書を、今でも多く出している出版社です。
 ところで、アメリカと戦争してるのに英語って。いいのか?
 英語の授業って、やっていたの? 禁止されてないの? 戦争中ならではの内 容なの? 数々の突っこみどころや疑問を抱えつつも、戦時中の英語学習誌って、 どんなものだったのか、見てみましょう。

 日本語の部分は旧式のかな遣いなので、古文と英語をいっしょに勉強してる 気になります。「この場合に後の動詞までも過去形にしてしまはないやうに注意 して下さい」こんな感じです。
 発音は、かたかなで表現されています。単語の中で強く読むところだけひら がなになっています。トゥなイト(tonight)とか、ぢャスト(just)とか、 スぱロウ(sparrow)とか。
 慰問袋など、戦時中ならではの題材も出てきます。
「私達は慰問袋(a comfort bag)(ア かンフォット ばッグ)を、兄に送る」 という文を英語にすると、「慰問袋を」「兄に」「送る」が、どういう順番になる か、というところが、今月の英作文のポイントです。

 お便りコーナー(「談話室」)を見ると、当時、英語(の授業)がどんな扱い を受けていたのか、様子がわかります。
 「組で1番の成績」「「初英」読者は皆英語甲」などのお便りからみると、ほ んの一部の教室で、だったのかもしれませんが、昭和18年(1943年)2月の時 点で、英語の授業は確かに行われていたようです。
 「英語廃止の呼び声高まりつつあるも」という文もあります。風当たりは強 かったのかもしれません。
 「米英両国は帝国の為に敗戦に次ぐ敗戦を重ねましたが、これは我が先輩が常に英語を研究したからです。」勝つためには敵の言語の学習も大切、という意 見もみられます。

 笑い話のコーナーもあります。笑える事を言った後のリアクション (「ダァ―――」「あきれたー」など)に、時代を感じます。
 表紙には、「すべてを戦争へ!」という標語が載っています。
 英語の勉強をする時にまで、戦争に協力するように、というメッセージが至 る所に入った教材を使っている、というのは、すごいと思います。

 ピースあいちのウェブサイトから、画像がご覧になれます。
  http://www.peace-aichi.com/20100720_shokyuueigo.pdf

 所蔵品紹介のページはこちらです。。
  http://www.peace-aichi.com/05_objects.html