資料ナンバー7170 陸軍の書類の話                  資料班



 軍隊では、鳩を飼っていました。
通信用です。
今回は、軍用鳩の訓練に関する書類です

 鳩に関する書類は3つ。7月の「鳩通信班日報」と8月の「軍用鳩訓練予定表 」、そして「訓練進度景況要図」です。
 7月の「日報」によると鳩班もしくは鳩通信班の人員は3名。将校、下士官、 兵が一人ずつです。鳩は、64羽。鳩舎鳩60羽、往復鳩4羽、夜鳩0羽です。鳩 の中にも、往復の道を飛べたり、夜間飛行できたり、特別な技能を持ったもの がいたようです。
衛生・繁殖の欄はほぼ空欄。「一般に健康にして病鳩を見ず。良況なり。」 みんな健康。7月には、卵や雛はいなかったようです。
訓練の成績は、「失踪未帰来等無く良好なり。」
 8月の「軍用鳩訓練予定表」を見ると、9回の訓練が予定されています。出張 人員は毎回1名。3人のうち誰が訓練地まで鳩を連れて行ったのでしょうか。
 「訓練進度景況要図」は、穏城からの距離を同心円で表した地図になっていま す。
鳩は穏城に向かって飛んで帰ります。

 鳩以外の書類も一緒にあります。隊員の食べ物に関するものです。
数字が漢字でしかも縦書き。単位はグラムやキログラムなのですが、これも漢 字で瓦(グラム)・瓩(キログラム)と書かれています。(そういえば鳩の訓練 の書類ではキロメートルを漢字で「粁」と書いています。)
 「副食物見積り決定表」(いろんな食材の単価がリストになっています。)を 見ると、つくだ煮と漬物の種類が豊富です。
つくだ煮は、「ハゼ佃煮・時雨煮・ウナギ佃煮・小イカ佃煮・蓮根佃煮」。隣の 欄の「紅海老」も、つくだ煮かもしれません。
漬物は、「奈良漬・沢庵漬・梅干・良京(らっきょう)漬・紅生姜・福神漬・茄子 辛子漬」。

 「糧食給与平均分量表」は、隊の1か月の食糧の分量と経費を第十九師団( 朝鮮半島の北の方担当の師団)経理部に報告する書類です。味噌も漬物も1人 1日100グラムと少し。塩分の多い食事だったようです。
 「副食物見積り決定表」にもどりますが、ソースやカレー粉やパン粉など、 洋風のものもあります。
「満州」と朝鮮の国境(北緯43度)で、いわゆる和風の食材ばっかり、という 方が、本当は不自然なのかもしれません。塩分は多いけど、保存食で和風の食 に近付けていたのかもしれません

 今回もピースあいちウェブサイトから画像がご覧になれます。
   http://www.peace-aichi.com/rikugunhato.pdf
 所蔵品の紹介のページはこちらです。
  http://www.peace-aichi.com/05_objects.html