「原爆の図」展 関連イベント◆ 講演会「いま 原爆の図に向き合う」
戦争体験を語り継ぐ会 澁谷 美子

猛暑日となった7月26日(日)、丸木美術館学芸員の岡村幸宣さんによる講演会が開催されました。会場も多くの来場者で満席となり、熱気に包まれていました。
前半は、ピースあいちで展示されている原爆の図、第3部 「水」と第14部「からす」の作品についてのお話しでした。初めに1952年に公開された記録映画「原爆の図」のダイジェスト版の鑑賞をしました。その後、画面に部分拡大された「水」が映し出され、スクロールと同時に丸木夫妻の言葉が読み上げられました。さらに作品の背景にある夫妻の思いや原爆についての報道が禁じられていた事など、当時の時代背景も丁寧に語られました。
「原爆の図」は、絵だけで完結せず語りとセットになっていること、女性と子どもが中心に描かれていることが特徴です。語りがある事でより作品に気持ちが入り、中央に描かれている母子像には胸がつまりました。続いて「からす」についても同様の流れで話が進められました。描かれたカラスからは戦争や人間の残酷さを感じます。
1950年代に制作された「水」が原爆被害を伝える作品であるのに対し、1970年代に制作された「からす」は戦後、原爆のことがどう語り継がれていったのかという日本社会の変化を伝える作品。この2作品を並べて観ることは、私達が原爆にどう向き合っていくかを考える上で、とても重要な機会になるのではないかと話されました。

後半は、ピースあいちで展示中の新資料をもとに、過去に愛知県内で開催された「原爆の図」巡回展についてのお話でした。 当時の熱気や平和活動への広がりが伝わってきました。
1952年の豊橋(愛知大学学生主催)での展覧会パンフレットを見て、多角的なアプローチに驚きました。1986年の愛知県美術館での開催については、現在のピースあいちの活動へつながった経緯があり、当時関わっていた宮原大輔館長がお話をしました。
「原爆の図」で人々の心に訴えかけ平和行動へ導いた丸木夫妻、ピースあいちの礎を築いた故・野間美喜子初代館長をはじめとする諸先輩方の歩みに感銘を受けました。
最後に、「私達は過去の歴史を鏡にしながら今の社会、これからの世界を考える。常にそれを繰り返す事が重要。それが原爆の図の展覧会のどんな時代でも変わらない意義だと思います」と話され、講演は終了しました。
*この講演会の内容は、ピースあいち2階の映像コーナーで視聴いただけます。