企画展「沖縄から平和を考える」開催中
沖縄県美ら島沖縄大使・名古屋市立大学名誉教授・当NPO理事 阪井 芳貴
今年も、ピースあいちでは準常設展「沖縄から平和を考える」が開催されています。2008年の開館一周年記念特別展から始まった沖縄企画展は、コロナ禍による中止(2020年)を除き、18回連続の開催となります。おそらく、沖縄県外でこのように毎年沖縄企画展を開いている機関・施設はほかにないのではないでしょうか。沖縄について日々さまざまな観点から思いを巡らしている立場として、心からありがたく思います。
今年の特別展示は、私の発案で「首里城と沖縄戦」をテーマに、新たに6枚のパネルを作成しました。その趣旨は、今秋、首里城が2019年の不幸な火災から再び蘇り、沖縄観光の目玉として復活するであろうことを念頭に、琉球王朝文化の象徴たる首里城が、実は極めて重要な戦争遺跡であることを知っていただきたい、というところにあります。
詳しくは展示パネルをご覧いただきたいのですが、1944年に沖縄に配備された日本軍第32軍がその司令部を首里城地下に構築したことにより、首里城は米軍による苛烈な攻撃対象となり灰燼(はいじん)に帰したという意味での戦争遺跡。さらに、それにより貴重な琉球王朝文化が失われてしまった事実を物語る場としての戦争遺跡。京都・奈良と同様に、当初米軍は攻撃対象から外していた首里一帯が、日本軍の拠点とされたことによる悲劇という意味での戦争遺跡。その背景にあった、琉球・沖縄を大切にする、守るという意識が皆無であった日本軍の本質をあらわした場としての戦争遺跡。首里城は、地上部分の壮麗な琉球王朝文化と、その地下に眠る忌まわしき戦争遺跡という、二つの顔を持っていることを、ぜひ知ったうえで再建なった首里城を見学していただきたいと思います。そのための最低限の情報を提供できたと考えています。

オープニングで展示ガイドを務める筆者
筆者は、5月5日のオープニングに展示ガイドを担当いたしました。この日は「ピースまつり」の日でもあり、普段よりかなり多くの来館者に恵まれ、展示ガイドでも30人以上の方に参加いただきました。これは、過去最高の人数だったそうです!筆者の話を聴いて、初めて首里城が戦争遺跡であることを知ったというかたがたくさんおられたことが印象的でした。今回の特別展示の意義が理解されたことを実感でき嬉しく思いました。
この「首里城と沖縄戦」展示パネル作成にあたり、さまざまな資料を参照しましたが、とりわけ第32軍司令部壕の全体像の把握にあたっては、「第32軍司令部壕の保存・公開を求める会」作成の資料に依りました。また、同会のパンフレットを来館者への配布用にご提供いただきました。記して感謝申し上げます。

沖縄戦当時の遺品展示
展示室では、以前の沖縄企画展に際し沖縄県南風原文化センターからご恵贈いただいた南風原病院壕から発掘された沖縄戦当時の遺品も展示しています。このように、ピースあいちは、沖縄県内の諸機関・施設のご協力をいただきながら沖縄企画展を継続してきました。大変ありがたいことです。
さらに、この数年継続してきました南西諸島軍事要塞化に関するパネルは、2階プチギャラリーで、一部パネルを新たに加えて展示しています。
そして、現代沖縄が抱える課題をあらためて自分事として捉えていただくきっかけにと、映画「太陽(ティダ)の運命」の上映会を5月16日に開きました。
この映画は、大田昌秀と翁長雄志の二人の元沖縄県知事の足どりと業績を描いたドキュメンタリー映画ですが、上映に先立ち筆者はプレトーク(15分間!)を担当しました。約50名の方々に参加いただき、政治家としては対照的な二人の沖縄県知事としての共通する葛藤・怒り・哀しみについて私見を聴いていただきました。沖縄とヤマトとの関係、日本政府(とヤマトゥンチュ)による「沖縄差別」について理解を深めていただけたのではないかと思います。
その理解を、次に思索と行動に移すことが私たちに求められています。
今年の沖縄企画展は7月4日まで続きます。6月20日には沖縄県南城市のアブチラガマのガイドさんによる講演会も予定されています。沖縄慰霊の日をはさむ展示期間に、ぜひピースあいちにご来館いただき、沖縄の歴史と現在に想いをはせていただきたいと思います。