みんなでつくった「みんなのひろば」
ボランティア  牧野 修三



 2026年4月発行のピースあいちニュースに2階「みんなのひろば」が紹介されています。ここでは、「みんなのひろば」が、どのような経緯でつくられたのかについて補足させていただきます。

序章: 2階常設展示室と「映像コーナー」 (2022年頃)
 2階常設展示室には、①愛知県下の空襲 ②戦争の全体像・15年戦争 ③戦時下のくらし の三つのテーマで、展示パネルや当時の「モノ」などが展示されています。展示室の広さからは想像できないほどの情報量があり、先の戦争の「負の遺産」を伝える素晴らしい学びの場となっています。

「映像コーナー」 (2022年頃)

 常設展示室の片隅には「映像コーナー」があり、戦争に関するドキュメンタリーなどのDVDを視聴できるようになっていました。しかしながら、SNS世代には馴染みのない「DVD(ディスク)をプレーヤーにセットして再生する」という機械操作が必要であり、再生時間も1時間を超えるものが大半ということもあって、近年はほぼ使われていない状態でした。
 ピースあいちが保有する「負の遺産」の中には、直接話を聞く機会がなくなりつつある貴重な戦争体験者の証言映像が膨大にありますが、これらはすべてDVDに録画されており、来館者に公開されることもなく資料室の奥で眠っていました。
 旧来のメディアであるDVDを使わない、SNS世代にも操作がしやすい映像視聴システムを導入し、戦争体験者の証言映像に加え、活字に慣れていない方や年少者向けの映像なども視聴できるようにすれば、幅広い層に戦争の実相を届けることができる、という思いを抱いていました。

1.「童話の森」の誕生 (2023年7月~9月)
 2023年夏の企画展「新美南吉の生きた時代-文学と戦争と平和」を契機に物事が一気に動きました。ほとんど使われていなかった「映像コーナー」を、お子さん向けの「童話の森」という新コーナーにリニューアルすることになったのです。
 「映像コーナー」を活かしたい、年少者向けの展示が欲しい、という思いを同じくする人たち、教育・編集・絵画・音楽・ナレーション・デザイン・工芸・ITなど、様々な分野に秀でた人たちが集まり「童話の森」が完成しました。(私は、映像紙芝居の作成や映像視聴システムの構築に関わりました。)
 お子さん向けの児童書コーナーやプレイゾーン、手作りのレプリカ、タッチパネルで映像を選択する映像視聴システムなど、現在の「みんなのひろば」につながる要素の全てが、このとき姿を現しました。

「童話の森」 映像視聴システム
(「ごんぎつね」などの映像紙芝居)
「童話の森」 児童書コーナーとプレイゾーン
(新美南吉作品の絵本と塗り絵)

2.「童話の森」から、「みんなのひろば」へ
 新美南吉展終了後、「童話の森」は、その構成要素を踏襲しつつ、対象を全ての世代に広げた新コーナー「みんなのひろば」に進化しました。ピースあいちの展示をより良くしたいという思いで動いていたいくつかのグループの活動成果が「みんなのひろば」に集まりました。

戦争体験者の証言映像 by アーカイブ化プロジェクト
 ピースあいちの語り手90人の証言映像をタッチパネルで選択して視聴することができます。DVDに録画されていた元映像が、プロジェクトメンバーによって見易い字幕付き短縮版に編集されています。沖縄展が始まる5月以降は、沖縄県平和祈念資料館からご提供いただいた沖縄戦体験者8人の証言映像も加わります。
戦争体験の映像紙芝居 by 企画展推進グループ
 沖縄展・子ども展・空襲展などの企画展で公開された映像紙芝居9点をタッチパネルで選択して視聴することができます。いずれも年少者にも分かりやすい映像となっています。ピースあいちの語り手やボランティア、沖縄県南風原文化センター、東邦高校平和実行委員会生徒の皆さんなどのご協力を得て作成されました。
児童書コーナー by 図書班
 戦争を伝える絵本などの児童書が本棚に集められています。企画展の際には、関連する本が抜き出されて本棚上に並べられます。
プレイゾーン by 企画展推進グループ
 戦時中の「折り紙:とび鶴」「弾丸占い」「防空頭巾」などを体験することができます。

「みんなのひろば」 (2026年4月現在)

「みんなのひろば」で
防空頭巾を体験する幼児たち

3.最後に
 世界中に暴力と人権侵害がはびこる昨今、「自分も何かをしたい」と思われている方も多いのではないでしょうか。
 「みんなのひろば」は、高校生から90歳を超える戦争体験者まで、多くの人たちのそうした思いと行動が結集してできたものです。
 貴方もピースあいちに参加して「何か」を始めませんか?お待ちしています!