平和か戦争か◆年の初めに
戦争と平和の資料館ピースあいち 館長  宮原 大輔

                                           
 

 新年あけましておめでとうございます。
 みなさまとともに新年を寿ぎたいのですが、世界に目を向けると、平和が脅かされる状況が続いていて暗澹とした気分になります。ウクライナの戦争は4年が経過しようとしていて、終わりが見えません。ガザではこの1年間で2万人が亡くなり、その総数は7万人を超えました。この数字に、長崎の原爆の死者数が7万4千人だったことを思い起こさずにはおれません。

 アメリカは1月3日にベネズエラ首都への爆撃と現職大統領夫妻の拘束・米国移送という、まるで世界は植民地時代に戻ったかと思わせる行動に出ました。トランプ大統領は「私には国際法など必要ない」「ベネズエラはアメリカが運営する」と述べたそうです。
 さらに、トランプ氏はデンマーク領グリーンランドを米国のものとすると発表しました。これに反対する欧州への関税は撤回したものの、次にはグリーンランド侵攻計画の策定を指示したそうです。
 第二次世界大戦の結果、世界は戦争の惨禍を反省し、国際平和、人権尊重といった普遍的な価値観を生みだしました。それは国連憲章や世界人権宣言として形となり、二度と世界大戦を引き起こさせず、世界の平和が可能になることを示してきました。しかし、今の世界の状況は80年前に逆行したかのようです。

 そしてわが日本では、高市首相は国会解散を発表した記者会見で「自らの国を、自らの手で守る。その覚悟のない国を、誰も助けてはくれません」と声高に語り、「いわゆる「戦略三文書」を前倒しで改定します」「その改定は急務であります。かつ、旧来の議論の延長ではない抜本的な改定が必要です」と語りました。さらに「日本国憲法の改正。長年にわたり、手がつけられてこなかった課題に、正面から取り組みます」として、「自民党が政権公約として掲げ、国民の皆様の審判を受ける。そして、選挙が終われば、その公約の実現に向けて、党一丸となって突き進んでいく」と決意を述べました。
 日本も米国と同じように、戦争ができる国、戦争をする国にしていくのだとしか読めません。

 戦争と平和の資料館ピースあいちはその名のように戦争の惨禍を忘れず、平和を目指す資料館です。戦争体験者が少なくなる中で、体験者のみなさんのお話を語り、伝えていくことを大切な課題として取り組んでいます。特に昨年は戦後80年という節目の年でしたので、戦争の体験を語り、語り継ぐ機会をたくさん設けて、多くの人々に体験を継承してきました。
 そのお話の中で必ず話されることがあります。それは「戦争だけはやったらだめ」「二度と戦争をやったらだめ」ということです。振り返れば、戦争体験者のこの思いこそが80年間日本を平和にしてきたのではないでしょうか。
 しかし今、この平和は危機に立たされています。平和か戦争かの危機だと思います。平和を守り続けるためにどうしたらいいのか、市民一人ひとりが考えていかなければなりません。一人でも多くの方々がピースあいちを訪れて、戦争のこと、平和のことを考えてほしいと思います。それはあなたの平和への一歩となるはずです。
 本年がみなさまにとって明るい年になることを願っています。