「語り継ぐ私の戦争体験 第五集」ができ上がりました!
運営委員 吉岡 由紀夫
12月13日、ピースあいち戦後80年プロジェクトの一つ「戦争体験を募集し、体験談集第5集を発行」する事ができました。
4月から募集を始め8月15日の締め切りまでの間に愛知県内、名古屋市内はもとより、北海道、東京都、埼玉県、静岡県、岐阜県、京都府から59名の応募がありました。寄せられた原稿の中には遺稿や聞き取りなど、ご家族や施設の職員方の協力で作成された体験談もありました。内容は、軍隊・戦場(4名)、抑留・引揚(9名)、空襲(18名)、勤労動員・疎開(12名)、戦時下生活(7名)、その他(9名)です。
データで寄せられた原稿もありましたが、ほとんどは手書きの原稿。編集委員はもちろん、ボランティアや夏にボランティアに参加してくれた名古屋市立大学の学生さんたちの協力でデータ化することができました。校正、執筆者の方への確認、再校を経て、年末までに完成にこぎつけました。
戦争を体験された方たちは「二度とあのような体験をしたくない、次の世代の人たちに同じような体験をしてほしくない」という強い願いを持っておられます。この「体験談集」が戦争や平和について考え、発言、行動するためのきっかけになれば幸いです。
(編集委員 田中玲子、小澤美由紀、高堂眞一、村林美佐、宮原大輔、吉岡由紀夫)
田中玲子 ボランティア
ピースあいちでは、戦後80年プロジェクトとして第5集となる戦争体験記募集をし、私はその校正作業に携わりました。59名の応募があったなか、ご本人やご家族等が書かれた引揚・抑留体験の2名、空襲体験10名を担当しました。校正作業は今回が初めてです。自宅で原稿を読み、校正を行い、その後、原稿をピースに持ち寄って校正箇所を伝えて検討する。8月から11月の間に、この作業を2回繰り返しました。体験談には写真や手書きの絵、詩や俳句もあり、それぞれが戦争の悲惨さや日々の生活を表現されています。読みやすく整理された文、気持ちをぶつけるように書かれた文と様々ですが、何度も読むうちに、どの原稿からも戦争のみでなく、その時代を語り継ぎたいのだという強い想いを感じました。
私はピースあいちで戦争の語り継ぎ手をしていますが、体験していない自分が話すことは難しい。自分がいなかった時代をどう話したら伝わるのだろうかと考えてきました。しかし、今回の校正作業に関わり、『二度と戦争は起こしてはならない』という想いは私も同じ、その想いを時代の空気感とともに残せば良い。そのように思い、語り継ぎへのヒントをもらったように感じています。
小澤美由紀 ボランティア
「ちょっと、手伝ってー!」「ん、どうしました?」。
体験談集の編集はこんな会話からはじまりました。「いいですよー」と言っている間に風呂敷の中からたくさんの原稿と資料が登場。
「こんなに原稿をよせてくださったんだ」「すごーい!」
まずは「校正の取決め事項」。できるだけ見栄えを揃えるための条件を話し合いました。
・年号…文章の最初のみ西暦と元号を併記
・数字…1文字は全角、2文字以上は半角など
この一覧表、確認する時に重宝しました。
そのほかに元原稿との相違、要約、誤字・脱字、言葉の説明要否など。特に大変だったのが聞きなれない言葉や地名です。自分なりに辞書で調べる、地図で確認するなどを行いましたが、判断に迷ったり不安なところはメンバーで話し合って決め、冊子を発行できるまでになりほっと一安心。
そして、編集メンバー以外にも学生さん、ボランティアさんが原稿の入力を手伝ってくださったとのこと、ご協力ありがとうございました。
今回の体験談は体験者さんのほかに、お知り合いやご身内の方がよせてくださったものもあります。各々の想いが込められた体験談集をぜひご覧ください。
高堂眞一 ボランティア
寄せられた原稿は、データで送られたものは少なく、手書きが多く、入力作業から始まりました。解読に困ることもしばしばありました。初校が刷り上がり、37編を読みました。「疎開先でも爆弾を受けた」。「空襲のなかは、熱い熱い灼熱地獄」。「転がる死体を越え、逃げ行く人の、見るに堪えない姿」。「病院空爆で、逃げる傷病兵の包帯姿、手足のない姿、」。「広島で、あの瞬間、閃光・爆音・爆風」。皆さまのいろいろの想いを得ました。ありがとうございました。
打ち出されてきた初校はそれぞれメンバーが自分の担当のところを校正、そのまま印刷所に行くと思っておりました。ところが、これが《ピースあいち》の神髄です。民主的です‼ 全員で各自が行った初校正をチェックしたのです。そのチェックに2日間費やしました。こうやって共有し、物事を決めていくことに感心いたしました。
二校は、執筆者にお送りし、加除・修正の返送をいただき、それを書き加えました。短歌が替わったものもあります。が、何より嬉しかったことは、丁寧なお礼のお言葉をいただいたことです。また、5冊欲しいとか、カンパが添えられたものもありました。やって良かったと実感いたしました。