戦後80年夏 戦争体験者の想いを次の時代へ…

運営委員  林 和子





 企画展「戦後80年 戦争を語り継ぐ―語り事業のあゆみ・これから―」のパネル展示と90人の体験者の証言動画、夏恒例の「戦争体験を聴くシリーズ」での体験者の方々のお話。ピースあいちが開館の年からずっと行ってきた「戦争体験の語り事業」をふりかえりながら、体験者から語り継ぎ手に手渡されているこの事業の大切さを改めて感じました。
 この企画展には、これまでピースあいちの語り手としてご活躍いただいたみなさんやご家族も来てくださり、展示を見たり、語り動画をご覧になったりしてくださいました。

 ご自身の動画を見て、「しっかりお話できているわ。メリハリがあってわかりやすいね。ここに置いてあるお手玉や疎開の絵などもって話したのよ」と、娘さんと笑いあいながらお話している方もいらっしゃいました。

「ああーそんなだった。ここでね…」と、空襲で逃げまどった時のことをご家族にお話しする姿もありました。ご家族は「最近あまり表情がなくなってきていたのですが、展示や動画を拝見し、語り仲間のことや空襲で逃げた場面のことなどうなずいていたり…。ピースあいちでどんな活動をしていたのがわかってよかった」とおっしゃっていました。

 「父は最近は日ごとに記憶が薄れていっているように感じます。父が描いた絵や体験談が残っていること、すごくうれしいです。」 

 「じっくり見させていただきました。夫がここで語り手をしてきたことが、こうやって大切にまとめられ、次の世代の方が語り継いでくださっていること、本当にうれしいです。」

 「中学時代の先生の動画が見られるのではないかと来てみました。懐かしい先生の姿、そのままです。先生は“憲法はとてもたいせつ”といつも言っていました。以前の同窓会の時、“退職後は戦争体験の語りの活動をやっているのよ”とおっしゃっていました。こういう活動だったのですね。今度この動画を見る同窓会やりたいです。」

 90人の証言動画は1階・2階の視聴コーナーでいつでもご覧いただけます。また、募集していた「戦争体験」は8月15日までに59人の方からお寄せいただきました。年内発行をめざして編集に入っています。

 ピースあいちは今年11月16日、「語り手の会」と「語り継ぎ手の会」を統合して持続可能な組織とし、両会のこれまでの蓄積を活かし合って戦争体験の継承活動を行っていこうと考えています。戦争体験者の思いを大切に引き継いで、さらに語り継ぎ手が自分の思いを重ね合わせて、非戦、平和というメッセージを届け続けるために…。