夏の企画展「学び舎から戦場へ」関連イベント◆朗読劇「嵐のあとに」トークイベント
ピースあいち語り継ぎ手の会 中川 弘美
皆さんは“愛知一中予科練総決起事件”を知っていましたか? 私は“否”でした。昨年馬場豊さんの朗読劇「嵐のあとに」が上演され、今夏ピースあいちの企画展「学び舎から戦場へ」で取り上げるにあたり、私も『積乱雲の彼方に』(江藤千秋著)を遅ればせながら読んだ次第です。

今回馬場さんは「嵐のあとに」の取材エピソードを話されました。まず、<海軍の予科練とは?>映画「決戦の大空」(原節子出演)や戦後、城山三郎が自身の体験を投影して書いた「一歩の距離 小説予科練」でどう描かれたか。当時の世相も交えて丁寧に説明してくださいました。
そして<鈴木忠煕(ただひろ)さん(1928~1945年)と家族のたどった道、遺族の戦後>へとお話は続きました。予科練志願の経緯、父の日記、家族への手紙、忠煕さんの最期。愛知一中からは56名入隊し5名が亡くなったこと。馬場さんが2012年に台本を作ったとき、忠煕さんの弟、隆充さん曰く「ありのままを伝えてほしい。父はこの日記を書き終えたけれど兄には送らなかった。本音は書けなかった。父には人に言えない無念があった。それを伝えて欲しい。」馬場さんは読む人にとってどんな伝わり方をするのか、そこに心を砕き、自分の推察や断定をさけようと努めたと。とても印象に残りました。
私の叔父(母の弟(1933年生))も愛知一中の生徒でしたが、この総決起事件のことを彼の口から聞いたことはありません。全く知らなかったのか、何か聞いていたのか。今となっては確かめる術はありませんが、この悲劇を二度と繰り返さないためにも後世に語り継いでいかなくては。
皆さん、企画展に足を運んで、写真や日記などの展示品もぜひご覧になってください。