「戦後80年 戦争を語り継ぐ―語り事業のあゆみ・これから―」に寄せて
事務局長 赤澤 ゆかり

戦後80年のピースあいちの展示では、ぜひとも、開館の年からずっと行ってきた「戦争体験の語り事業」を振り返り、それを一つの区切りとして、将来の展望を提示できるものを企画したいと考えました。
ピースあいちの戦争体験「語り手の会」と「語り継ぎ手の会」を一体化したらどうか―。数年前から、こんな意見が聞こえるようになりました。語り手さんが高齢化していくのは当然のことで(我々ボランティアも等しく年を重ねていきますし)、いずれはそうなるだろうとみんなが考えていました。問題はその時期で、どうせなら早く一体化したほうがいいという意見と、それぞれ役割が違うからそんなに簡単にはいかないという意見がありました。後者の意見が出るうちは、次期尚早です。
そのうちに、両会で話し合い、事務局会議を一緒に行うようになりました。事務局の努力もあって、「語り継ぎ手の会」が語り手さんの付き添いを行ったり、例会なども相互に出席し合ったり、語りのメニューを考えたりと、とても良い関係ができてきました。
「今夏、一体化したらどうか」「夏は忙しいから、秋ごろにしない?」と、組織を変更する時期についても自然に了解ができていくかたちになりました。

夏の企画展がどんな展示になったかは、ぜひ来館してご覧になってください。今までに戦争体験を語っていただいた方全員とはいきませんでしたが、お一人お一人が、どんな体験を、どんな思いで話してくださったかを展示しています。また、戦争体験を語り継ぐ人たちの、その動機や平和への思いも展示しました。体験談集、語り継ぎシナリオ、体験者が使う紙芝居など(評判が良い!)も、手に取ってご覧いただけます。
また、戦後80年事業の一つとして、戦争体験の語り動画を15分ほどに編集して、館内で視聴していただけるようになりました。完成すれば、「軍隊・戦場体験」「広島・長崎の被爆体験」「空襲体験」「学徒勤労動員体験」「学童集団疎開体験」「抑留・引き揚げ体験」「その他」、88人の動画が視聴していただけます。編集前の動画も貴重な資料として末永く保存し、研究目的などでご希望があれば提供できるようにします。
この夏、ピースあいちで様々な「戦争体験」に触れて、これからの戦争と平和について考えを深めてみませんか。