1階常設展示「現代の戦争と平和」リニューアル◆2012年以降の動き
運営委員 吉岡 由紀夫
2007年にピースあいちが開館し、1階に「現代の戦争と平和」展示コーナーが設置されました。2012年に更新が行われ、今回のリニューアルの取り組みは13年ぶりでした。完成目標は開館18周年のピースまつり(2025年5月3日)とし、ピースあいち戦後80年事業の取り組みの一つと位置付けて取り組んできました。

2012年以降の平和をめぐる動きとして、注目する一つ目は、2015年に国連加盟193カ国が全会一致でSDGs(「持続可能な開発目標」 2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標)を採択したことです。国家だけではなく、市民社会、個人が協働して取り組むことが求められています。しかし大国の中には、消極的な動きもあり、目標の達成が危うい状況です。
次に、2017年に核兵器禁止条約が国連で採択され、批准されて核兵器廃絶への一歩を歩みだしました。条約の制定に取り組んだICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)と被団協(日本原水爆被害者団体協議会)はノーベル平和賞を受賞しました。被爆者の方々が「ノーモアヒロシマ・ナガサキ」と平和を求め続けた長年の取り組みが世界を動かしました。しかし一方では「核抑止論」、「核兵器使用」を発言する国もあり「予断を許さない状況」がみられます。

戦争をめぐる動きとして、この間、世界で紛争、侵攻(侵略)行為により、多くの市民が巻き込まれる悲惨な状況が続いています。2022年ロシアはウクライナに武力侵攻し、2023年イスラエルのパレスチナガザ地区への攻撃は、侵略行為の禁止、紛争の平和的解決、加盟国の平等、領土保全などを明記した国連憲章、国際法にあきらかに違反した行為です。
2012年以降の日本の流れは、「新しい戦前」といった言葉が口の端にのぼる今日、軍拡,軍事費膨張、軍事優先の色を濃くしつつあります。
戦後80年にあたり、戦争と平和の流れの最後に、『戦争の脅威と平和の推進』を求めるパネルを設置しました。軍拡ではなく平和憲法を堅持、実現への『不断の努力』が今こそ求められていると思います。