2025年沖縄展での映像展示について

ボランティア 牧野修三





 6月23日の「沖縄慰霊の日」前後に毎年開催している沖縄展。主体となる説明文と図版によるパネル展示に加え、今年も映像展示を2か所に用意しました。パネル展示とあわせて、ご覧いただけたらと思います。

■2階視聴コーナー
 ピースあいちには名古屋空襲・広島長崎原爆・中国戦線など、数多くの戦争体験者の証言が映像アーカイブとして保管されており、それらを館内で自由に視聴することができます。しかし、残念ながら沖縄戦体験者の証言映像はありませんでした。
 今回、沖縄展開催にあたって、沖縄県平和祈念資料館が保有する沖縄戦体験者証言映像*を、先方のご厚意でお借りすることができました。
 *沖縄県平和祈念資料館 「戦世の記憶」 (http://peace-museum.okinawa.jp/evidence/

 証言映像は、いずれも3階展示室の準常設展示パネルに対応したもので、「沈没した対馬丸から生還した小学生」 「渡嘉敷島での集団自決に関わった中学生」 「父がスパイ容疑で日本兵から惨殺された4歳児」などの8点です。

沖縄戦体験者証言映像
タッチパネル選択画面
「4歳のとき、父がスパイ容疑で
日本兵から惨殺されました。」

 「ありったけの地獄をあつめた」と言われる沖縄戦、その「様々な地獄」から、心身共に傷つきながらも「この世」に生還した方々の証言には、「自分たちが納得できる歴史を作りたい(史実を無視して書き換えたい)」人たちの虚偽妄言を寄せ付けない「真実」があります。


■3階展示室

タイトル画面

 「基地のある日常」を伝える約5分のショートムービーです。
 米軍基地のない愛知県などで暮らしていると、生活圏で米軍が日常的に軍事訓練をしているということに実感が湧かない方も多いのではと思います。まさに、自分もその一人です。そこで、僅かながらでもその実態を自ら知り、知らない方に伝えたいと思い作成しました。3部構成になっています。

①沖縄県米軍普天間基地の通常訓練日
 米軍の「通常訓練日」の日常を自ら撮影しました。本年3月のメルマガで紹介した内容の映像版です。普天間基地に隣接する普天間第二小学校から下校する児童たちの真上から、ヘリやオスプレイが爆音をとどろかせて降りてきます。ただし、この映像を撮影した日(2025年3月4日)は比較的「静かな一日」だったと思われます。

 米軍普天間飛行場に12機の外来戦闘機が飛来した2025年5月7日は騒音117.6デシベルが記録され、市の「基地被害110番」に苦情が殺到した。110デシベルは間近で聞く自動車のクラクションに相当するとされる。 (琉球新報 2025年5月8日19面記事 要約)

②沖縄県米軍基地キャンプハンセンでの大規模演習日
 米国防総省画像配信サイトdvidsで公開されている日米共同訓練の映像です。3kmも離れていないところに民家や保育園、小学校などがあります。


③長崎県自衛隊相浦駐屯地での大規模演習日
 ②と同じく、米国防総省画像配信サイトdvidsで公開されている日米共同訓練の映像です。ここから、民家まで450m、保育園まで1.2kmです。

米軍普天間基地
(通常訓練日 2025.3.4)
米軍基地キャンプハンセン
(大規模演習日 2025.2.24)
自衛隊相浦駐屯地
(大規模演習日 2025.2.19)

 これらの映像から、騒音や軍事訓練の一端を知ることができますが、いずれも「ある日の、あるひと時」を捉えたに過ぎません。言うまでもありませんが、度重なる性暴力事件やヘリなどからの落下物事故なども含めて、知っておくべき、伝えるべき、「基地のある日常」が抱える問題は膨大です。