企画展「沖縄から平和を考える」によせて◆沖縄テレビによるドキュメンタリー映画を上映
ボランティア  吉田  稔

                                           
 

5月27日から企画展「沖縄から平和を考えるー沖縄の基地問題は私たちの問題」が始まります。開催中の6月21日には、関連イベント「トーク&映画」を開催します。トークは阪井芳貴氏(名古屋市立大学名誉教授)の「沖縄民衆のチカラ」。
 映画は沖縄テレビによるドキュメンタリー映画「サンマデモクラシー」。この映画は沖縄の抱えるリアルな実情を描いた「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」に続き、沖縄テレビが製作したドキュメンタリー映画の第2弾。米軍占領統治下にあった沖縄で、サンマの関税に端を発した訴訟が民主主義をめぐる闘いに発展していった歴史をひも解くというものです。

展覧会場の様子1

 舞台は1963年、米軍の占領下にあった沖縄。祖国復帰を願う沖縄の人々も日本の味として食べていたサンマには輸入関税がかけられていました。その根拠は琉球列島米国民政府の高等弁務官布令、物品税法を定めた高等弁務官布令十七号(1958年公布)。ですが関税がかかると指定された魚の項目に、サンマの文字はありませんでした。そこで「関税がかかっているのはおかしい!」と、魚卸業の女将・玉城ウシが、琉球政府を相手に徴収された税金の還付訴訟を起こします。
 このウシおばぁが起こした“サンマ裁判”は、いつしかアメリカを追い詰め、民主主義を巡る闘いに発展。裁判を展開した人々の視線の先に立ちはだかったのは、帝王と恐れられた歴代最強の第3代高等弁務官 ポール・W・キャラウェイ。キャラウェイに挑んだウシおばぁを支え“サンマ裁判”を弁護したのは、政治家・下里恵良。そして、この裁判を大波へと煽っていったのは“米軍(アメリカ)が最も恐れた政治家”瀬長亀次郎でした。統治者アメリカと自治権をかけて闘った沖縄で起きた落語のような実話です。

 

 敗戦後の米国統治下の沖縄で、最高権力者である高等弁務官相手に、漁師の妻である霊長類最強のおばぁ(佐藤栄作似)と、だいたいが法律に触れるタイプの強キャラ弁護士と、米軍が最も恐れた男が立ち向かっていく作品。米軍の基地や、彼らアメリカ兵が起こす暴力事件に対して立腹してるんだろうなとしか思っていませんでしたが、この映画を観たら、考え方が変わりました。改めて、戦争ってクソだなという視点を、統治下の沖縄の県民の目線を通して再確認できました。
 当時の映画館の大人料金=サンマ一匹の値段だった時代には二度と戻りたくないものですが、現代ではすべての値段が値上がりしてどうしようもないです!なお、すごく真面目な作品です。
 登場人物は全員強キャラ、結構ブラックジョークの効いてる場面も多いので、全世代が楽しめる作品だと思います。

〇沖縄慰霊の日「トークと映画上映会」〇
 トーク「沖縄民衆のチカラ」阪井芳貴氏(名古屋市立大学名誉教授)     
映画「サンマデモクラシー」(2021年製作/90分)     
と き 6月21日(土)13:30~16:00     
ところ ピースあいち1階交流のひろば     
定 員 50人(要予約 電話 052‐602-4222)