人々の思いや願いを考える「平和学習展」をめざして
岐阜県山県市歴史民俗資料館   岡山 敏明




                                           
 

 今年度も山県市におきましては、ピースあいちの資料やパネルを活用し「平和学習展」を開催してきました。市内の小学校6年生児童の皆さんの学習の一環として活用していただきました
 当館では、毎年「戦時下のくらし」「戦争とこども」に重点を置いて展示を行っています。理由は、戦争の歴史を過去の出来事としてだけとらえるのではなく、その時代に身を置いた人々の気持ちにつなげることで、児童に平和を担おうとする資質を培ってもらいたいという願いからです。

展覧会場の様子1

 児童には、金属の供出に伴う暮らしの変化や、物資の不足と共に実施された配給制、軍隊に招集される家族の様子など、当時の実物や写真などから、「こんな気持ちだったに違いない。」という人々の思いを想像しながら見学してもらいました。
 また、その一方で当時の学校の行事や授業、地域や家庭で戦争遂行のスロ-ガンが喧伝され、軍事色に染められた生活から、「自分も戦争に参加し、日本のために戦いたい。」という思いに駆られる当時のこどもたちの思いにも触れさせました。

 

 一般的に小学校の歴史学習は、自分の思いや考えを膨らませながら、それぞれの時代に生きた人々の立場に立ち、具体的な状況下での思いを深く考えさせることが必要だと思います。そのためには、見学をしている児童たちがどう思っているのか、何を感じているのかをリアルタイムで知りたいと思っていました。
 そこで今年は、ある学校の協力で、カメラで展示物を映し出し児童が教室にいながら見学するという方法にトライしました。展示の写真や資料をカメラを通して見た後、グル-プ討論で戦時下の人々の思いを話し合ってもらい、その考えを主催者の方へリアルタイムに文章で送付していただきました。まるで学校の授業に近い形で見学ができました。児童が人々の気持ちを掘り下げていく手法として有効だと感じました。これからの見学方法として拡げていきたいと思います。
 しかし、いろいろな工夫をするものの、なかなか満足のいくようにねらいを達成できないのが実情です。「ピ-スあいち」の所蔵資料を拝見しながら、来年度の開催に向け、よりよい見学になるよう考えていきたいと思っています。