夏の特別展「新美南吉の生きた時代―文学と戦争と平和」が始まりました!




 一昨年の夏からボランティア18名でプロジェクトチームをつくり、準備を進めてきた夏の特別展「新美南吉の生きた時代―文学と戦争と平和」が7月18日(火)に始まりました。 南吉の生きた時代は、大正デモクラシーを経て、関東大震災、治安維持法、満州事変、日中戦争、国家総動員法、そして太平洋戦争へと、まさに戦争に向かう時代でした。そんな時代を新美南吉という文学に命をかけた青年がどう見つめ、生きたのか。新美南吉の人生と作品をとおして、戦争と平和について考えます。
 視察や勉強会を続けるなかで多くの方と知り合い、またご協力いただきました。ありがとうございます。


 ピースあいちには今、ボランティアインターンシップで名市大の学生さんが4人、博物館実習の学生さんが3人、研修に来ています。彼らにも手伝ってもらって、15日に展示作業を終えました。すべてがボランティア手づくりの展示会ですが、見ごたえありますよ!

パネルを作って。
「カッター使うのは小学校以来だよ!」
展示して。
「傾いてない?」
ごんの足あともつけて。
「キツネってどう歩くんだ?」

 国際的な絵本作家・かすや昌宏さんのご厚意で2階プチギャラリーに展開するのは、かすやさんの絵本『ごんぎつね』の世界。3階の企画展への期待が高まります。


 3階の展示は以下の4つのコーナーに分かれています。
〇 南吉を育んだ半田・岩滑
〇 近代文学との出会い、そして戦争の時代へ
〇 安城での希望の教員生活から無念の死まで
〇 戦争の時代を生きた南吉―非戦と平和への願い
 そして、それぞれ解説パネルとその時代に書かれた南吉の作品を紹介しています。
 作品パネルには、安城への視察でお会いした画家の野村郁夫さんが絵を描いてくださいました。描かれている内容は一話一話それぞれが深いのですが、優しい色彩のおかげで会場が一気に柔らかな雰囲気に。解説パネルも野村さんの絵の雰囲気に合わせてデザインしました。
 また、南吉の作品が掲載された児童雑誌『赤い鳥』の実物資料ほか、新美南吉記念館から様々な資料をご提供いただき、展示しています。


 初日18日のオープニングは、野村郁夫さんのギャラリートーク。
 「今回、南吉の作品を戦争と平和の視点から改めて捉え直すことができた。世界中、きな臭い時、『いまだから止められる。』の想いをこめて描きました」など、今回の展示のために描き下ろしていただいた14点の作品に込めた想いを語っていただきました。



 22日は新美南吉記念館第4代館長、新美南吉顕彰会会長・山本郁夫さんの講演会「南吉とその生きた時代-美しいものを愛する心」。
 昭和31年に大日本図書の教科書に初めて採用されてから全部の教科書が採用し、日本中の子どもたちに読まれている「ごんぎつね」のお話から、南吉さんの生涯、その生きた時代、そして作品について、ユーモアを交えてたっぷりお話しいただきました。
 南吉さんの死は早すぎましたが、多くの人がその才能を愛し手を差し伸べてきたこと、そして今も多くの人に愛されているということがよくわかりました。


 2階展示室の一画には「ピースあいち 南吉・童話の森」が出現!

来館した小学2年生。
「『赤いろうそく』 知ってる。塗り絵やりたい!」
と、さっそくチャレンジ

 壁面いっぱいに展示された野村さんの絵が、入館者を童話の世界にさそいます。ここでは南吉の絵本や童話を読んだり、童話を視聴したり、ぬり絵を描いたりして、お子さまもお楽しみいただけます。


 夏の一日、ピースあいちでゆっくりと新美南吉の世界に触れてください。そして、新美南吉記念館にもおでかけください。生誕110年記念事業が開催されています。