海外からの寄贈品
ボランティア・資料班 橋爪 玲子

                                           
 

 4月30日、ジャガード千津子さんが、風呂敷に包まれた資料を携えて来館されました。
 ジャガードさんは、愛知県刈谷市のご出身で、現在米国イリノイ州在住、「NPO法人 キセキ遺留品返還プロジェクト」(以下「キセキ」)代表としてご活躍されています。
 今回の来日は、このプロジェクトのために3週間程滞在し、日本各地を訪れるためでした。

 

 「キセキ」は、米軍兵士が戦地で持ち帰った旧日本兵の遺留品(日章旗寄せ書きをはじめ写真や手紙など)を遺族に返還する活動を続けています。戦後78年を経て、遺族の高齢化が進み返還が難しい状況となり、数年前から寄贈活動にも力を入れているそうです。

 

 今回持ち込まれた資料は、連合軍による1945年6月15日付の名古屋地区地勢調査書 No.134 の一部とされるものです。
 Allied Geographical Section
Terrain Study No.134
Nagoya Area 15 June 45

展覧会場の様子1

寄贈された資料の説明を受けるボランティア
(左側がジャガード千津子さん)

 ジャガードさんによると、この資料は、イリノイ州北西部にある小さな町ガリーナの印刷屋で見つかりました。その後、古物商の手に渡りネットオークションに出品されたと推測されますが、詳しい経緯は不明です。
 このシリーズは、オーストラリアのモナシュ大学のデジタルライブラリーで一般公開されていますが、ジャガードさんは、「デジタルの画面ではなく、実物の大きさで見てほしい。この資料は、アメリカ本土ではなく日本で保存してほしい」と、その思いを語りました。

 

 名古屋地区の地図、説明書、航空写真、鉄道関係の写真など23点すべてを寄贈していただきました。
 まずは、12月初旬開催予定の「第11回 寄贈品展」に展示公開させていただきたいと話すと、ジャガードさんは安堵した表情をされました。

 

 奇しくも、当館では企画展「地図と写真で見る名古屋と戦争」(2023年3月7日~5月6日)を開催中で、ジャガードさんは、熱心にご覧になっていかれました。 
 現在、私達は、スマホでいつでもどこでも写真を撮ることができ、地図は常に更新され誰もが最新の情報を得ることができます。
 今回寄贈された紙の地図と写真は、終戦の年1945年に名古屋地区が詳細に調査されていた事実と向き合う機会を与えられた大変貴重な資料です。多くの市民の皆さまに見ていただきたいと思います。