第10回寄贈品展開催中!
ボランティア(資料班)  寺島 雅恵





 今回、寄贈品展に初めてかかわりました。
 この1年あまりの間に寄贈して頂いた資料を全て展示するということです。寄贈いただいた資料は367点、26人の方からです。資料班では、いただいた資料を分担し、寄贈者からお話を聞き、資料の紹介文などを作成し、展示作業をしました。

寄贈品展会場

 私の担当した余語さんは、名古屋市立第三高等女学校(現旭丘高等学校)1年5組の吉川さんの日記を寄贈されました。
 吉川さんは1945年(昭和20年)1月23日の名古屋空襲で犠牲になった42人の生徒の1人です。当時同校では生徒は日記をつける習慣がありました。余語さんは吉川さんの一年先輩の方で、残された吉川さんの日記を冊子としてまとめたものを寄贈されました。当時13歳の吉川さんの生活を少しだけ知ることができました。


 もう一人の寄贈者の古澤さんは、友人から譲り受けたという「日本国憲法施行記念切手」を寄贈されました。1円切手1枚と50銭切手1枚が施されている切手シートには「昭和22年5月3日 逓信省、売価3円」と記されています。
 計算が合いませんが1円50銭は寄付なのでしょうか……など、疑問に思う事もあります。その他、衣料切符、食料購入切符などがあり、不自由であった当時の生活がうかがえます。今の私たちの生活では考えられないことです。

雑誌 『画報躍進の日本』 の展示

 『画報躍進の日本』という雑誌(昭和14年2月から昭和19年2月)が55冊あります。日中戦争初期の日本が大陸に進行していく姿を報道した機関紙。それを見ているうちに、日本が大国であり、絶対に戦争に負ける気がしないと、だんだんと読者を洗脳していたのでしょうか。
 これも雑誌の表紙しか展示する事ができず、雑誌を開いて展示しても、開いたところだけしか見えません。凄く残念です。興味のある所を手に取って見ることができたら本当に面白いと思います。

展示作業をする筆者(左)

 その他、手紙も写真も日記も、伝えることの難しさを感じます。そして、手紙、日記で驚くのは、文字が凄く上手いことです。縦書きの遺書、短歌などの毛筆の筆使い、文章の力強さ。何かを訴えるものがあります。
 1月11日の朝日新聞の天声人語に、 「タレントのタモリさんの『新しい戦前』という言葉があり、そんな言葉が話題になっている。有事をめぐる懸念が高まる今だからこそ冷静さを求める政治の重みを思う。」 と書いてありました。
 今私たちが当たり前のことと思っている、着たいものを着て、食べたいものを食べ、安心して寝る場所があることが、当たり前ではないことです。
 ロシアがウクライナに侵攻してから、はや11ヶ月。一日も早い停戦を望むことは難しいことでしょうか。寄贈品展を通して、戦争は絶対にしてはいけないと思います。