2022年度博物館実習を終えて◆「柔軟な博物館実習」
ボランティア(学芸員)   岡村 裕成   

 

                                       
 

 今年も博物館実習を7月、8月、9月と間隔をあけて実施しました。例年、ありがたいことに応募してくれる学生が絶えないので、やりがいもあり、学生目線の考えや発想が吸収できています。特に今年は例年にはないことが多くあり、それもまた今後のために活かせるなと思えました。

朗読会の様子1 朗読会の様子2 朗読会の様子3

 まず、一番大きかったのはご時世の影響がついに出て、実習生が新型コロナウイルスに感染し、博物館実習の補講を実施したことです。幸いにも、企画展の関連イベントや夏に毎年実施している戦争体験を聞く会などが開催されていて、うまくそのスケジュールに合わせて、やむなく欠席になった学生に本来の実習に劣らない補講を実施できたと思います。個人的にはZoomを使った補講も今年初めて実施して、博物館実習の新たな講義の形もできるのではないかと、可能性を見つけ出せたのが大きかったです。
 また、参加学生も過去最多の5名で、難しい部分もありましたが、それぞれ特色や成長を見せてくれ、それもまた有意義なものになりました。例えば、学生の課題の一つであったガイド発表では、単に知識をつけるだけでなく、実習での経験や展示を見ての発見を盛り込む、さらに実習の間に交流したボランティアスタッフとの話も組み込むなど、例年以上に見聞広く得たものを柔軟に取り入れてガイドしていた印象がありました。
 さらに、企画展発表でも、ピースあいちと自分自身の考えていた企画展のすり合わせが難しいと悩んでいた学生が、思い切ってその内容と方向性を変えて発表したときには驚かされました。これらもまた、若いからこその柔軟な発想と取り込みなんだろうなと思えました。

 久々に博物館外でのフィールドワーク――ピースあいち近辺の戦争と平和関係のスポットを回った――を実施できたのも、大きい経験になりました。今後また状況がよくなれば、自分が構成したスポットすべてを巡るフィールドワークができればと思います。

<学生の感想(抜粋)>
・名古屋には現在でも自分の目で見て感じることができる戦跡がここまであることに驚き、これらをこれからの平和学習にも活用しない手はないと感じました。
・戦争体験者の方に語り継いでもらうことは、私たちにとってはとても有益なことですが、本人たちにとっては話すのも苦しい場合があることを忘れてはいけないと思いました。
・1階の受付ではボランティアの方とお話ししながら接客しました。中にはガイドを希望する人がみえたので、つたないガイドで申し訳なかったですが(中略)貴重な経験になったと思います。
・企画展考案ではテーマの変更もあり、最終案作成までに時間を要したが、展示で伝えたいことを一番に考案することで、(中略)一学芸員としての意識を大事にした。
・知識不足は恥ずかしくないこと…は言い過ぎかもしれないが、課題に対して一生懸命取り組んだことは認めてもらえることを学んだ。