初めての「語り継ぎ」を終えて
語り継ぎ手の会(リボン)  中川 弘美



                                           
 

 8月26日、宮根学童保育所の4年生から6年生7名に、母の戦争体験を語る機会をいただきました。
 7月に「中日こどもウィークリー」の取材を受け、「戦争を知らずとも語り継ぐ」として、母が大切にしていた人形などを活用して母の少女時代の戦争体験を語ろうとしていることを、8月13日の紙面に大きく掲載していただきました。
 この取材を受け、子どもたちが戦争をより身近に感じ、想像し、理解できるような話をしようと、語りのプロセスを考えました。

 
展覧会場の様子1

 母が宝物のように大切にしまっていたのは、軍服を思わせる服を着た「くるくるくるみちゃん」の置物、世界的に活躍したロシアのバレリーナ、アンナ・パブロアの人形、中原淳一の絵つきしおりなどです。

 話は、母の国民学校時代から高等女学校までの体験を、実物を見せながら行いました。子どもたちは(うん、うん)とうなずいたり、メモをとったり、一生懸命聴いていました。私の問いかけに素直に答えてくれたのもうれしかったです。

 

 今回は、当時の実物を見せて話をしましたが、いっしょに一冊の本を読んでいろいろ話し合うのもいいなあと思いました。
 そして、この一回限りで終わるのではなく、来年、さ来年と―例えば小学4年から6年の3年間、中学、高校それぞれの3年間―、多感な時期に少なくとも3回、その子どもたちの成長に合わせて話をすることができたらどんなにいいか、と考えます。
 「じゃ、また来年会いましょうね」と言って別れ、「みんな大きくなったね。この一年、何してた?」と再会を喜ぶ。いかがでしょうか。

 

追記
今夏、長年使い続けてきた母の本箱(1930年代もの)を修理に出しました。蝶番が取れてしまっていたこともありますが、末永く使いたいと意を新たにしたからです。飾り棚に“くるくるくるみちゃん”を置いてみたいな。本箱が戻ってくる日を首を長くして待っている昨今です。