ピースあいちで学ぶ◆愛知学院大学日本文化学科博物館学芸員課程見学実習

                                           
 

9月6日、愛知学院大学日本文化学科博物館学芸員課程の見学実習で、3年生・4年生8人がピースあいちを訪問しました。11時から、青木正雄さんの「南太平洋のペリリュー島で戦死した父の戦争」語り継ぎを聞き、その後常設展と企画展「戦争プロパガンダ」を見学しました。昼食後は名古屋大学博物館を見学しました。引率は文学部日本文化学科の蛸島直教授。参加されたお二人の方から感想をいただきました。



戦争体験の語り継ぎ『還ってきた日章旗 帰らぬ父たち』をお聞きして 愛知学院大学文学部日本文化学科3年  山田 穂乃花

                                    
 
展覧会場の様子1

青木正雄さんの語り継ぎ
「南太平洋のペリリュー島で戦死した父の戦争」を聴く

 私は、小学校の頃に、『はだしのゲン』という漫画が「子どもが見るにはあまりにも精神的にトラウマを与える内容」として世間で扱われるようになり、自由に閲覧できなくなった世代である。このことに加えて、これまで戦争に関する記事やテレビの特集を見たり、人から聞いたりしたときに、一歩踏み込んだ内容に触れてきたことがなかった。そのため、今までの私は「戦争」の恐ろしさを分かっていたつもりで、本質的な理解には至っていなかったのだと思う。
 しかし、今回の映像からは、戦争の凄惨さがこれまで以上に強く伝わってきた。特に、アメリカ兵が火炎放射器で日本兵に攻撃をしている姿や、負傷した兵隊たちの姿、戦争で亡くなられた方々の様子を見て、衝撃を受けた。それと同時に、「戦争」は人間性を失わせ、人の考え方を変えてしまう恐ろしいものであるということを改めて強く感じた。また、時間が経過しても遺骨が戻ってきていない遺族の方たちが多く存在するということを知り、戦争の大きな爪痕が今も残っているということがわかった。
 今回の体験を通して、戦争の犠牲者の存在はタブー視すべきものではなく、日本の歴史として知る必要のあることだと思った。  現在、青木正雄氏のような戦争を語り継ぐことのできる人たちは減少しているなかで、今回は非常に貴重な体験をすることができた。この日に感じたことを今後も忘れないようにしていきたい。


9月6日 ピースあいち見学の感想 愛知学院大学文学部日本文化学科4年  山中 萌絵

                                    
 
展覧会場の様子1

企画展を観る学生たち

 先日はお忙しい中、貴館の見学や講話のお時間をいただき、誠にありがとうございました。
 この度の見学において、展示の解説をしていただき、資料を見せていただいたことで、歴史の授業で学習した大きな戦争の裏にある市民が受けた被害の大きさや当時の人々の生活などを学ぶことができました。
 一般的には展示ケースの中に入っているような貴重な資料が、展示ケースなしで手の届く範囲に置いてあることが印象的でした。近くで覗きこむことによって質感や小さな傷なども見ることができ、ケースを通して見るよりもさらに身近な存在のように感じました。
 また、戦時下での家が再現されているものでは、家具や部屋の様子から昭和期の生活を学ぶことができるだけではなく、子どもの衣類に描かれた柄などから戦争が市民の生活の深くまで侵食していたのだと感じることができました。情報でしか15年戦争を知らない世代ですが、恐怖と緊張感にあふれた当時の日常を想像することができる展示になっており、大変良かったです。
 第二展示室の「命の壁」では、亡くなった人やその周囲の状況がそのまま写されており、戦争によって奪われた命があるという現実を改めて実感しました。正直目を背けたくなるような恐ろしさでしたが、15年戦争が遠い過去になりつつある今だからこそ、しっかりと向き合うべき内容だと感じました。
 今回の見学や講話で学んだことや感じた恐怖を活かし、平和について考え、戦争の恐ろしさを風化させないように周囲に伝えていける存在になれるよう努めます。