ピースあいちを訪問して
中京大学国際学部  鶴田  綾

                                           
 

 2022年7月1日、中京大学国際学部国際政治学専攻のベルコウィッツゼミと鶴田ゼミの3年生合計10名が、ゼミ活動の一環としてピースあいちを訪問した。ベルコウィッツゼミは社会開発を専門とし、4月からこれまで、様々な問題の当事者へ話を聞きながら、社会の問題について理解を深め、当事者としていかに関わることができるか、国内外の人々の生活をよくするために何ができるかを考えてきた。
 鶴田ゼミでは国際政治史を専門とし、特に20世紀の植民地支配や冷戦について学んできた。今回のピースあいち訪問の目的は、①過去の戦争と現在の自分の生活のつながりを理解してほしい、②企画展「沖縄戦と沖縄復帰50年」を見て、沖縄について学んでほしい、③戦争と平和の問題を考えることで、秋学期以降のゼミでの学びにつなげてほしいというものであった。
 なお、10名のうち、それまでにピースあいちに来たことがある学生は1名であった。また、学生には、事前学習として、戦争に関する最近のニュースについて簡単に調べてもらっていた。

 到着後、まず施設紹介のDVDを見せていただいた後、ガイドの荻野さんのご案内で2階の常設展を見てまわった。その後、30分ほど、各自2階の常設展示と3階の企画展「沖縄戦と沖縄復帰50年」を自由に見学してから、1階に戻り、小グループに分かれてディスカッションをした。

展覧会場の様子1

 グループによるディスカッションでは、戦争に関する最近のニュースをシェアしてから、展示の中で一番印象に残ったこと・モノについて話し合った。
 以下、五月雨式になってしまうが、ディスカッションの内容を少し紹介したい。
 あるグループでは、「戦争」は外国で起こるものだという認識がこれまであったため、日本が戦争の主体になっている開戦時の新聞記事が印象的だったという意見が出た。また、広島・長崎への原爆投下については知っていても、愛知県と戦争のつながりについては知らなかったという声もあった。
 さらに、現在進行中のウクライナとロシアの戦争に絡めて、戦争が突然始まることへの恐怖、日常生活が奪われることへの不安なども挙げられた。自分たちにできることとして、政治に興味を持つ、歴史をもっと知るなどの意見が出た。教員の側からも、親族から聞いた疎開体験や戦争に関するエピソードが共有された。最後に、ディスカッションを見守ってくださっていた荻野さんが、現在のロシアによる戦争が国際的に許容できないことが改めて指摘され、学生に対してたくさん勉強するよう励ましてくださった。

 後日、アンケートを書いてもらったところ、
「2階の展示を説明と共に見ることが出来て理解しやすかった」
「館員の方々の熱意がすごく伝わってきた」
「名古屋に爆弾が何個も落とされていた事実は、昔、授業で習ったのかもしれないが忘れてしまっていたので、思い出せてよかった」
「この展示を通して、これから私たちはどうしていくべきか、考える必要があると感じた」
「戦争のことは小学生の時から学校の授業で習ってきたが、改めて見たり聞いたりすると衝撃的すぎて逆に実感が湧かなかった」
「『平和』な日常が当たり前と認識し続けられるように、後世に受け継いでいけることを願う」
「今度は、戦争の跡地/痕跡がわかるところに行ってみたい」
などの感想が出た。

 学生たちが、今回のピースあいち訪問から何らかの刺激を受け、自身の歴史観や問題意識を深めるきっかけに少しでもなったことを願っている。
 訪問のご相談をさせていただいた坂井さん、コーディネーターの熊本さん、ガイドをしてくださった荻野さん、改めてお世話になりました。本当にどうもありがとうございました。