選択授業「平和探究プロジェクト」の取り組み
クラーク記念国際高等学校 教諭  横山 泰章

                                           


 

 本校の授業では、生徒が興味や関心を持ったことを主体的に学習できる「PBL」(問題解決型学習)を導入しています。今回は選択授業「平和探究プロジェクト」を紹介したいと思います。

展覧会場の様子1

平和公園ウォーキングツアー
広島の被爆アオギリ、長崎の被爆クスノキ(いずれもピースあいちが寄贈し平和公園の一角に植えられている)→熱田空襲の犠牲者を弔う愛知時計電機の墓標→陸軍墓地、日露戦争によるロシア兵捕虜の墓標、第1次世界大戦によるドイツ兵捕虜。写真はドイツ兵捕虜の墓標の前で説明を聞く生徒たち

  

 平和探究プロジェクトは、戦争体験者にインタビューし、聴き取った内容をオーラルヒストリーとしてまとめ、校内はもちろん、市民に語り継いでいくことを目標に発足しました。そしてこの授業の原案は、戦争体験者の高齢化が進み、戦争の記憶が引き継がれなくなるのではないかという危機感を抱いた生徒によるものでした(*)。

 前半は戦争体験者にインタビューする準備として、ピースあいち発行の『語り継ぐ私の戦争体験』の読み合わせを行ったり、戦争博物館をめぐる計画を立てました。そして去る6月3日、ピースあいちの見学と平和公園に遺る戦争のつめ痕をめぐるウォーキングツアーに参加させていただきました。以下は生徒の感想です。

ウクライナの戦争と日本の戦争はどこか違うものだと思っていたのですが、今回ピースあいちや、戦跡ツアーに行かせていただいたことで一気に現実味が増し、戦争の悲惨さを知り、戦争が終わることを強く思いました。(YY)

座学ではなく実際に現地に赴くことでより理解を深めることができ、歴史を学ぶ刺激にもなりました。(TY)

普段ちゃんと勉強しようと思わないと学べないことを機会を設けていただきとても感謝しています。ガイドさんもとても話が上手で話が入ってきやすく頭に残る内容で、今後自分達がどうこのことを伝えていくかを深く考えさせられました。機会があればまた伺いたいです。(YM)

 

 このように好意的なコメントが多く、満足度を5段階で測ったところ、4.5と大変満足できたようでした。(なお5を付けなかった生徒についても「もう少しゆっくり見て回りたかったです」など内容については満足していたようです)
 引率した私としても、座学で紙から学ぶ以上に、モノや場から学ぶことの意味を感じました。今後も戦争体験者のご紹介や語り継ぎなどでお世話になります。よろしくお願いします。


 

*昨年度1年生の「現代社会」の授業で世界遺産検定が主催する「世界遺産×SDGsチャレンジ!プレゼンテーション部門」に挑戦しました。その中で「原爆ドーム×平和 戦争の記憶の継承方法を考えよう」に取り組んだ生徒たちが「学生語り部育成案」を提出し、優秀賞をいただきました。