平和を願う思いをつないで
名古屋市立香流小学校教諭  加藤 洋将

                                           
 

 2022年1月18日に、校外学習でピースあいちを訪問させていただきました。香流小学校では、6年生の社会科「長く続いた戦争と人々のくらし」の学習の一環で、毎年訪問させていただいているのですが、名古屋市や愛知県などの戦争資料の展示も多く、教科書では学習したものの、子どもたちにとってはどこか他人事のように思ってしまいがちな戦争をしっかりと肌で感じることができ、学校の近くにこのような素晴らしい資料館があり、毎年訪問させていただけることを本当にありがたく思います。
 毎回見学の前に、ホールで戦争体験者の語り部の方に、ご自身の戦争体験についてお話をいただくのですが、今回初めて「語り継ぎ」というものを拝聴させていただきました。

展覧会場の様子1

 田中さんのお話を聞く子どもたち

 お話をいただいたのは、ピースあいち「戦争体験語り継ぎ手の会」の田中玲子さん。学徒動員を経験し、空襲で家族を失ったお父様がおられたのですが、戦争については多くは語ることなく亡くなられてしまったそうで、そんなお父様を理解したいという思いで、戦争を語り継ぐことを始めたと話されていました。
 今回の田中さんの語り継ぎの中で、堤茂子さんが学徒動員で体験した熱田空襲と、その後の救助活動に参加していた桜井純さんが描いた戦争絵について、関連させながらお話しされていました。複数の語り部の方の話を複合させながら、構成を考えてより分かりやすく伝えることができるのも、語り継ぎならではの特長だと感じました。
 今年で戦後77年を迎え、戦争体験者の多くがご高齢となり、その数も少なくなってきている今だからこそ、「戦争を語り継ぐ」ということはとても大切なことです。また、今後も国際情勢が大きく変わるなど、激動する未来を生き、その中心を担っていく子どもたちという若い世代に伝えることに大きな意味があるのだと思います。

展覧会場の様子1

展覧会場を見学する子どもたち

 普段は賑やかな子どもたちですが、田中さんのお話を真剣な表情で聞く姿を見ると、平和を願う思いがしっかりと心に刻まれていると感じました。見学後の感想にも、「僕にできることは、もっと戦争について学んで、将来子どもができたら戦争の恐ろしさを教えることだと思う」「これからは、戦争のない平和な世界を、私たちが作っていきたいです」など、自分たちの使命として捉えている記述も多くありました。
 今回の訪問で、戦争体験の語り継ぎの重要性について、私自身よく考えることができました。田中さんのような語り継ぎの方のお話を聞いた子どもたちの中から、いつか後の世代への語り継ぎを担う者が出てくることで平和を願う思いがつながり、素晴らしい未来を築くことができるのだと信じています。