第32回愛知サマーセミナーへ参加◆
ピースあいち講座「アニメ映画『アンゼラスの鐘』上映会と『いま伝える戦争体験』」
ボランティア  吉田  稔

                                           
 

 7月17日、18日に行われた第32回愛知サマーセミナーで、ピースあいちはアニメ映画『アンゼラスの鐘』上映会と「いま伝える戦争体験」の講座を開催しました
 昨年、サマーセミナーはコロナ禍にあって残念ながら開催できませんでした。サマーセミナー実行委員会の今年こそは開催したいとの思いが伝わったのか、愛知県の緊急事態宣言も直前の7月11日に解除されました。それでも最悪の事態に備えて、検温、消毒、マスク着用等スタッフの皆さんの献身的な努力で開催されました。

展覧会場の様子1

アニメ映画『アンゼラスの鐘』上映会

 ピースあいちの講座は、17日3限目の第1部は、昨年から予定していたアニメ映画「NAGASAKI 1945 アンゼラスの鐘」の上映。過去3年間は映画「ひろしま」の上映にこだわってきましたが、2017年7月7日に「核兵器禁止条約」が国連で採択されたこともあって、長崎の原爆投下をテーマにした映画を上映したいと考えてきました。
 この映画の見どころは、なんといってもアニメ映画ですから、原爆投下の悲惨な実態も描くことができます。この映画の原作となった「長崎原爆記」の著者であり若き医師であった秋月辰一郎(1916年~2005年)を主人公にして、勤務していた「聖フランシスコ病院」での救助活動の奮闘を描いています。彼は、被爆はしましたが無傷でしたから救助活動に専念できました。その後、「聖フランシスコ病院」の院長となり、日本医師会最高優功賞、永井隆記念賞等を受賞しました。この講座には定員いっぱい87名の方が参加してくれました。

展覧会場の様子1

「核兵器禁止条約」パネルの解説(筆者)

 続く4限目の第2部は、二つの内容になりました。
 一つは、「核兵器禁止条約」パネルの解説。ピースあいちが作成した「核兵器禁止条約が発効しました!核兵器の終わりの始まり」の8枚のパネルを見ていただきました。
 もう一つは、「いま伝える戦争体験」です。

展覧会場の様子1

熊本亮子さんの語り継ぎ

 最初の語り継ぎ手は、運営委員の熊本亮子さんです。彼女が語り継いでいる人は「仲 直敏さん」です。仲さんは長崎出身で13歳の時に、勤労動員で三菱の工場にいて被爆しました。ピースあいちのボランティアにも参加されていて、紙芝居を使う語り手としても活動されていました。訥々とした語り口が印象的でした。残された紙芝居を使って熊本さんもゆっくりと噛みしめるように語り、参加された皆さんにもとても分かりやすい内容でした。

展覧会場の様子1

佐々木陽子さんと熊本典生さん

 次は、新しい語り継ぎ手・佐々木陽子さんの初登場です。ピースあいちは昨年2020年夏に戦後75年企画として、新しい語り継ぎ手の募集をしました。17名の方が2020年10月からピースあいち初の語り継ぎ研修を始めました。佐々木さんはその参加者の一人です。コロナ禍という状況下にあって、リモート研修会なども織り交ぜながらほぼ9か月の研修会を終えました。
 佐々木さんは広島市出身で、「私のヒロシマ」というテーマで、祖母が原爆体験時に綴った手帳を元にシナリオを作成されました。6月の研修会で試演され、サマーセミナーに初参加することになりました。研修会のリーダーを務める熊本典生さんが質問する方式で、語り継ぎをする動機や思いを語り、そして1945年8月29日、祖父が原爆症で亡くなる状況が克明に記録されている祖母の手帳の文章を朗読されました。その切々たる思いは真に迫るものでした。
 熊本亮子さん、佐々木陽子さん、お二人の語り継ぎ手の参加は、ピースあいちの語り継ぎ事業の将来に手応えを感じさせるものでした。

◆参加された方からはたくさんの感想をいただきました。いくつかをご紹介します。◆

・僕はこのアニメ映画を見るまでは、原爆が落ちた事しか知りませんでした。落ちた後の人々の様子など全く知りませんでした。

・原爆が落ちてその場で亡くなる人ばかりじゃないんだなって思った。元気だったり、その時症状が出ていなくても数日後に急死したり吐血したりするのを見て原爆って怖いなと思った。

・唯一の被爆国として核兵器の怖さを知っているので、核兵器禁止条約についてもっと深く知るべきだと思いました。

・仲さんの紙芝居の読み聞かせを聞くと、教科書で書かれていない、体験者だからこそ伝えられる深刻な状況がより身近に聞けて、このようなことが二度と起きないようにしてほしいという思いをつないでいく必要があると思いました。戦争があったことを風化させないように取り組んでいる姿勢がとても素晴らしいと思った。

・体験者が伝えたい心がいつまでもつながることを期待しています。佐々木さんのお話を聞いて、祖父母から体験を直接聞いておけばよかったと今さらながら感じる。被爆2世、3世のこと、差別の事など考えたい。

・ピースあいちの取り組みに感謝します。大変な苦労があると思いますが、本当に戦争そして核をくりかえさないように。