「戦後世代による語り継ぎボランティア」第1回の研修から
運営委員 林 和子

                                           

 「ピースあいち戦後75年プロジェクト」のひとつ、戦後世代による語り継ぎボランティアの研修が10月18日より始まりました。
 この語り継ぎボランティア養成は、以下の呼びかけで今年4月から募集を始めた取り組みです。

ピースあいちでは、開館当初から戦争体験者の語りを事業の一つとしてきましたが、そんなに遠くない日にこうした貴重な機会も失われてしまうでしょう。私たちは、戦争を体験した先代の人たちから話を聞くことができる最後の世代です。忘れてはいけない記憶―。戦後75年の今、私たちにできることは体験者の皆さんの思いを受け継いで語り継ぐことではないでしょうか。ピースあいちで「語り継ぎ手ボランティア」として活動をしてみませんか。

 9月の締め切りまでに予想を超える多くの方に応募をいただきました。コロナ禍の中で、感染防止対策を講じながらの研修のため応募いただいたみなさんに参加いただくことができず、とても残念でした。

展覧会場の様子1

 第1回目の研修会は開講式。18歳の高校生から当館のボランティアである71歳の方まで幅広い年齢の方々に参加いただきました。
 宮原館長のあいさつ、赤澤事務局長、語り手の会、語り継ぎ手の会などからピースあいちの現在の活動について紹介。参加者からは、自己紹介と応募の動機などお話しいただきました。みなさんのお話を聞いて、ピースあいちの活動にまた新たな一ページが開かれるなとワクワクです。 お話の一部をご紹介しますと・・・。

「ひめゆり学徒隊のTVを見た時、兵士のうめき声やウジ虫が肉を食う音に衝撃を受けた。文字や絵だけではなかなか伝わらない“空気感”。そういうものも伝えられるように感性を磨いていけたらと思います」

「20年前に亡くなった祖父には体験を聞くことができなかった。資料を調べてみたりしたが一人では限界を感じていた。ここでみなさんと一緒に勉強していきたい」

「自分の周りに戦争を体験した人がいなく、このまま戦争を知らないで大人になるのは怖いなと、昨年ピースあいちの夏の体験語りを聞きに来ました。その時から、いつか語り継ぎをしてみたいと思っていました。」

「広島出身です。毎年8月6日は登校日。小学校1年の登校日で見たはだしのゲンの映画は衝撃でした。怖かった。高校3年のとき先生が『これから県外へ出ていくもんもおるじゃろうけど、ヒロシマのことを伝えていくのは県民の義務じゃけんのう』と話されていました。その言葉を強く感じるようになって…」

「昨年の夏ここで語り継ぎの方のお話を聞いて、語り継ぎの大切さを知りました。その時まずはボランティアになって勉強したらといわれ、以後月1回運営ボランティアをしています。」

 今後はピースあいちが開館以来撮りためた語り手のお話DVDや体験談集などを参考にしながら、参加者一人ひとりがどなたの体験を語り継ぐかを決め、シナリオを作り、実際に語り継ぎ活動ができることを目標に、毎月1回の研修をしていきます。語り手の方との懇談はもちろん、プロのアナウンサーの方から語りの技術を学ぶプログラムもあり、楽しみにしています。