◆展示案内のガイドは楽じゃない
ボランティア 野田 隆稔

                                           
   

 展示ガイドを「ピースあいち」開館以来やっているが、教師をしていた時と同じで、授業に満足したことがないように、ガイドでも満足したことはない。
 ガイドで第一に気をつけていることは受ける対象のことである。小学生だったら、小学生に解る言葉を入れながら話す。高校・大学生だったら、習った歴史の授業を思い出してもらうように話す。対象に応じて話す題材を考える。

1.下調べをする
 ガイドを受ける人たちがどこに住んでいるかが事前に解っているので、その地域に戦争の被害があったかどうかを調べる。
 今年来た犬山市の小学生に「犬山に空襲があったかどうか」と聞く。そのためには犬山市の空襲を調べる。犬山市にも空襲があったが、彼らの住んでいる地域と違っていたので、ほとんどが知らなかった。
 江南市の小学生は空襲のあった地域に住んでいたので、学校で習ったのか、祖父母に聞いたのかわからないが半数以上の児童が知っていた。
 子どもたちの居住地の話なので、子どもたちは興味を持って聞いてくれる。年長者の団体だと、空襲を体験された方もおられ、自分の体験を話される。こちらが勉強になる。
 こうして調べた資料は、同じ当番のガイドさんにも配布しているが、ガイドの世話役の方で、各自が作られた資料をまとめて、誰でも利用できるようにすることが必要であると思っている。

展覧会場の様子1

子どもたちにガイドする野田さん

 

2.見学者と話す
 第二に気をつけていることは、説明ばかり聞いていても退屈するので、話しかけて対話ができるようにしている。
 例えば焼夷弾の実物を見せ、「なぜ六角形になっているの」?と聞く。小学生高学年だと気が付く。
 「眼をそらさないでください」という写真の展示では、「日本人がこの戦争で何人亡くなったのか」と聞く。小中学生はほとんど知らない。「310万人、そのうち軍人は230万人」と話す。「軍人の多くは何が原因で死んだのか」と聞くと、「餓死や病気」という答えが返ってくる。「焼き場の少年」の写真はほとんどが知っている。中には涙ぐむ子どももいる。
 戦争中の生活のところでも、いろいろ聞く。「洗濯板はお祖父ちゃんの所にある」という子もいる。 
 最後に、「平和って何だろう」ということを聞くことにしているが、「戦争がないこと、争いのないこと」「食べられること」「当たり前の生活ができること」等々である。私が一番印象に残っているのは小学校6年生の女の子が言った「笑顔があること」である。この少女の感性の豊かさに感動した。

 ガイドをしていて、一番残念に思うことは時間が少ないことである。あれだけの展示を30分~45分では説明できない。中途半端に終わってしまうことが多いし、最後の「平和って何だろう」というのも聞けないこともある。
 終わった後、ほっとするよりも心残りが多い。欲求不満もたまりガイドは、精神的に楽ではない。