かけがえのないひと時だった「学生の日」
ボランティア・次世代交流チーム  増田 圭佑

                                           
 

 12月15日の日曜日、8月から自身の卒業論文のために関係を持ってきたピースあいちのイベントに、来館者としてではなく、「次世代交流チーム」のボランティアスタッフとして参加した。

展覧会場の様子1

 その日のイベントは、自分と同じ学生を主な対象とした「学生の日」というものであった。展示物を見る際にガイドが付いて説明をしたり、来館した人たちが気軽に過ごせるように、一階の交流スペースに戦争についての本や机・椅子を置いたりした。
 私としては、たとえ来館者が一人もいなかったとしても、戦争に関しての活動ができているだけで満足であった。数か月前の自分が想像もしていなかった場所に立っていたからである。

展覧会場の様子2

  結果的に、次世代交流チームの広報のおかげもあって、学生を含めた28人の来館者があった。その中の数人の学生や他の大学の先生と交流をすることもできた。その方々と一階の交流スペースで一つの机を囲み、他の学生ボランティアも一緒に、戦争に興味を持った理由や取り組み、また、戦争に対しての想いを各々が話していった。
 私は、これまで地元や大学の同年代の子とは、戦争について話すことがなかった。それは、そもそも話題に出ないというのもあるが、今や戦争の話題については敬遠されている雰囲気があったからである。なので、私にとって今回の同年代の人たちと交流した時間というのは、かけがえのないひと時であった。

 
展覧会場の様子2

 私が、このひと時でいちばん心に残っていることがある。「学生の日」が開催されたのは12月15日。そのつい数日前に、私は「戦争を知らない世代が語り継いでいく意味とその方法」というテーマで卒業論文を完成させたばかりであった。その論文を持参し、交流した学生や学生ボランティア、また大学の先生にみてもらい、なぜそのテーマを選んだのか、そしてそのテーマの考察やまとめについて話すことができた。
 実を言うと話し出すまでとても不安であった。先程も述べたが、私はこれまでの人生で、同年代の子とは、戦争のことや自分の想いというのをあまり話したことがなかった。
 「自分の言っていること、論文で自分なりに導き出した答えが、果たしてどう思われるのだろう」と。だが、聞いてくれた人たちは、私の想いやその答えに大いに共感してくれ、興味を持ってくれた。

 

 戦争とは、決して単純な世界ではない。だから、私の想いや答えが合っているかどうかはわからない。けれども、私の想いと答えは決して間違ってはいないということを初めて実感できた。同時に、卒業論文のために費やしてきた時間や労力は無駄ではなかった、自分なりに一生懸命に取り組んでよかったと、本気でそう思えた。
 ここまで来るのに、本当に多くの人たちの支えや助けがあった。私一人では、とうてい登ることのできない山場であった。これまでの関わった人たちすべてに感謝をして、次の目標に向かっていきたいと思う。