戦争体験者へのインタビュー冊子 『Life』 5号できました!
ボランティア 大野 恵

                                           
 

 昨年12月に、『Life』 5号を発行しました。この冊子は、戦争体験者の方一人に登場していただき、今日までの人生を語っていただく、という内容のもので、私の個人的な趣味で制作しています。

 今号は愛知県碧海郡高浜町(現在の高浜市)で生まれ、現在は名古屋市にお住いの今井美代子さん(93歳)のお話をお聞きし、冊子に掲載させていただきました。
今井さんは戦時中、金城女子専門学校に通っていましたが、学徒勤労動員法により、名古屋市熱田区の愛知航空機(現在の愛知機械工業)に動員されました。当時のことや戦後の結婚生活のことなど、今となっては大変貴重なお話をお聞きすることができました。
 今回で5号目になりますが、取材はまだまだ不慣れで、訪問前はいつも緊張で固まってしまいます。今井さんへ初めての取材の日、ご自宅の場所が分からず迷子になり、娘さんの裕美さんに迎えに来ていただくというハプニングもありました。(しかも雨の中‥)

展覧会場の様子1

Life 5号(2019年12月発行)

 最後の取材は2019年6月5日でした。この日は熱田祭りが行われており、港区の自宅から自転車で祭りへ向かいました。祭りの最後には白鳥橋周辺で花火が打ち上げられ、大勢の見物客で賑わっていました。その時、今井さんからお話を伺った「熱田空襲」のことを思い出しました。1945年6月9日の「熱田空襲」は愛知時計電機、愛知航空機などが標的となり、白鳥橋周辺でも多くの犠牲者が出ました。
この日、今井さんは高浜の自宅から電車で出勤途中に警報が発令したため引き返します。その後、警報が解除され、職場へ向かう電車に乗りましたが、再び警報が発令したため引き返し、難を逃れたそうです。しかし工場で働いていた人たちはその日から一瞬にして消えてしまったそうです。74年後の同じ6月に、白鳥橋に立って花火を眺められる今の平和を実感した一日でした。

展覧会場の様子1

今井美代子さん(中央)、裕美さん(右側)と一緒に

 また、今回は今井さんが戦時中に書いていた貴重な日記(1945年5~7月分)を読むことを許していただきました。
日記には今の時代と変わらない天気のことや季節の移り変わりなども書かれていました。当たり前ですが、戦時中でも花は咲き、夏には綺麗な夕空が広がっていたことがわかります。そして、恋する乙女心や友達のことも書かれていました。そういった日記の内容に、親近感を覚え、いつの時代でも人の心は同じようなことを思い、悩むものだなと思いました。
 ひとつだけ今と違うのは、あの時代を生き抜いてきた人々は、今よりずっと毎日を大切に、精一杯生きてこられたのだと思います。

 今回の制作では、今井さんをはじめ、娘さんの裕美さんにもたくさんご迷惑をおかけしました。また、ピースあいちスタッフの方々にも協力をしていただきました。本当にありがとうございました。これからも皆さんから、冊子についてご意見やご感想、アドバイスなど多くいただけると嬉しいです。