◆所蔵品から◆資料ナンバー9131 「尋常小学書キ方手本 第一学年用甲種」 の話
資料班



「尋常小学書キ方手本」

「尋常小学書キ方手本」表紙・奥付

 今回ご紹介する資料も「第7回寄贈品展 時をつなぐモノたちの声」(2019年12月7日~)に展示する予定です。
 明治時代の、お習字の手本です。
 奥付(本の一番最後)を見ると、「明治四十三年五月」の印刷・発行です。明治43年は、1910年です。

 実際に使用されていたのでしょう。表紙にも墨の跡が見えます。

「尋常小学書キ方手本」

アサヒ・ユフ日・大キイ・小サイ

 縦長の冊子を開くと見開きでお手本が載っています。見開き2面、4ページ分をご覧いただいています。
 「尋常」「第一学年用」ということは今だと小学校1年生。1年生から授業でお習字。筆で字を書くのは、今よりもずっと身近なことだったのでしょう。
 現在は毛筆の「書写」の授業は小学校3年生からはじまります。昭和(後半)の小学生だった私も3年生から学校の授業でお習字やりました。

「尋常小学書キ方手本」

キクキミガヨ・ウヘシタナカ

 1年生の教科書は、片仮名で始まります。お手本だけでなく、国語、終身などの教科書でも1年生用は片仮名です。算数の教科書で「カズノホン」というのもありました。
 見開きで、1ページ3文字ずつ6文字入るのですが、言葉の切れ目が3文字のところとは限りません。よーく見ると言葉の区切りのところに小さな〇(まる)がついています。右のほうは「キク・キミガヨ」左は「ウヘ・シタ・ナカ」と区切られます。
 「ウヘ」や、先ほど出てきた「ユフ日」は、歴史的仮名遣いになっています。「ゆう日」と「うえ」です。

「尋常小学書キ方手本」

オチヤクワシ・エリソデスソ

 寄贈品展の展示の準備をしていて、なんて読むんだろう、と話題になったのがこの「オチヤクワシ」。言葉の区切りではオチヤ+クワシです。
 「お茶」と「菓子」でした。
 もう一つは食べ物ではなく着物関係、襟袖裾(えりそですそ)です。
 

「尋常小学書キ方手本」

ヤシロトリヰ・テホンニヱ本

 こちらが最後の4ページです。「ヤシロ・トリヰ」「テホンニヱ本」
 「ヰ」と「ヱ」が使われています。(平仮名だと「ゐ」、「ゑ」です。)
 昔の仮名遣い、というだけでなくここで気づく。このお手本はもしかして片仮名が全部もれなく使われているのではないか。


メモ

 チェックしてみました。
 結果は、「せ」「め」「も」が使われていないような。
 ここでさらに気づく。チェックの時1項目(見開き2ページ)飛ばしてしまったのでは。

「尋常小学書キ方手本」

 抜けていたページがこちら。片仮名コンプリートでした。


詳しい画像はこちらからどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/pdf/20191123_jinjoukakikata.pdf

ピースあいちウェブサイトの、所蔵品の紹介のページからも、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/objects/





寄贈品展のお知らせ 
ピースあいち第7回寄贈品展 時をつなぐモノたちの声
2019年12月7日(土)~2020年1月25日(土)
2018年7月から2019年6月までの寄贈品290点を展示します。