◆特別展「水木しげるの戦争と新聞報道」◆水木しげるの世界に魅了されて
ボランティア 原田 拓郎

                                           
 
絵はがき

 9月1日(日)まで開催中の「水木しげるの戦争と新聞報道」展のイベントとして、7月20日(土)に水木しげるさんの長女・原口尚子さんの講演会が行われました。その対談形式の相手のひとりとして、幸運にも私はお会いする機会をいただきました。

 子どもの頃に「ゲゲゲの鬼太郎」のアニメを見て、大人になってから境港を訪れたことをきっかけに、すっかり水木しげるさんの世界に魅了され、その壮絶な人生を知りました。亡くなられたときは、仕事中にそのニュースを知り、その日は仕事が手につかなかったぐらいでした。
 ピースあいちのボランティアの活動の中で、いつかお会いできることを夢みていたからです。そんな思いから企画展のメンバーにも参加させていただきました。

 2015年(亡くなられたのと同じ年)に、徴兵検査後に書かれた「出征前手記」が発見されました。水木さんご自身はその存在自体を記憶していなかったそうですが、死と向き合う苦悩や葛藤が綴られ、のちに著名な漫画家として大成する前のひとりの若者の姿がそこにありました。
 あまり知られていない姿ではないでしょうか。
 同時に、当時の若者の多くが同じように戦争や死という現実に苦しんだことを伝える非常に意味深い資料だと思います。

 講演会では、この「出征前手記」の一部を抜粋して紹介し、原口さんにコメントをいただくという流れで行われました。結果としてポジティブなご意見もいただけましたが、私の朗読部分が多く、お客様は原口さんのお話を聞きに来られたのに、こちらの思いをぶつけ過ぎてしまったのではと感じています。
 原口さんのお話はとてもおもしろく、本には載っていないようなことや家族ならではのお話、水木さんの最期のエピソードなど、娘だからこそ語れることが随所にあり、とても充実した内容でした。
 さらに、サプライズゲストとしてNHKドラマ「のんのんばあとオレ」で幼少の水木さんに、妖怪やあの世のことを教えた「のんのんばあ」を演じた女優の山田昌さんと、夫で俳優の天野鎮雄さんが登場されました。原口さんとも初めての対面で、とても盛り上がりました。

 講演会で聞き手として登壇するのは初めての経験でしたが、とても良い経験をさせていただきました。個人的には反省ばかりですが、この経験を無駄にすることなく、これからの活動に生かしていきたいと思います。